養生訓11

養生の術は、つとむべきことをよくつとめて、身をうごかし、気をめぐらすをよしとす。
つとむべきことをつとめずして、臥す事をこのみ、身をやすめ、おこたりて動かさざるは、はなはだ養生に害あり。
久しく安坐し、身をうごかさざれば、元気めぐらず、食気とどこほりて、病おこる。

意訳

養生の方法とは、仕事を一生懸命に行い、身体を動かし、達成感や充実感を得るのが良い。
仕事もしないで、寝ることを好み、身体を休めて怠けて動かないのは、逆に体には良くない。
また、長く同じ姿勢で座るのも良くない、身体を動かさないと固くなり血流がとどこおって病気になる。
適度な運動、適度な仕事、適度なストレスが養生の基本である。

通解

養生の術は、積極的に身体を動かし、気を巡らせることを重要視します。
何事も積極的に取り組むことなく、ただ横になって身体を休め、動かさないことは、養生にとって非常に害があるものです。
長時間座って身体を動かさない状態が続くと、元気が回らず、消化力が低下し、病気が発生する可能性があります。

身体を動かすことは、血液や気の流れを促進し、代謝を活発にする効果があります。適度な運動や身体活動によって、筋力や柔軟性が維持され、体内のエネルギーの循環が良くなります。また、適度な運動は心身のストレスを軽減し、心の健康にも良い影響を与えます。

ただし、無理な運動や過度な負荷をかけることも避ける必要があります。個々の体力や健康状態に応じて、適切な運動を選び、無理なく行うことが重要です。定期的な運動習慣を身につけることで、身体の調子を整え、健康を維持することができます。

養生の術は、身体の動かし方や気のめぐらせ方にも関心を持ち、バランスの取れた生活を送ることが大切です。適度な運動と休息、バランスの良い食事、心の安定やリラックス法など、総合的なアプローチが養生には必要です。個々の体質や状況に合わせた養生法を実践し、健康と幸福な生活を目指しましょう。

「安坐」(あんざ)

「安坐」(あんざ)は、座ったまま静かに座ることや、特に座禅(ざぜん)と呼ばれる禅宗の修行法において、坐禅をすることを指す言葉です。坐禅は、禅宗の宗教的な修行方法の一部であり、身体的な安定と精神的な集中を養うために行われます。

座禅をする際、修行者は特定の姿勢で座り、通常は脚を交差させて座ります。座禅の目的は、心を静め、思考を終息させ、真実の自己を発見することです。修行者は深い瞑想状態に入り、物事に執着せず、全体的な平和と調和を実感しようとします。

座禅は、日本の禅宗をはじめとする仏教の宗派で広く行われており、禅寺や寺院での修行の一環として行われることが多いです。座禅を通じて、修行者は自己認識を深め、内面的な平穏や悟りを求めることを目指します。座禅は身体と精神の調和を促進し、ストレスの軽減や心の平静をもたらすとされています。

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