養生訓151(巻第三 飲食 上)
煮(に)過(すご)して、にえばなを失なへる物と、いまだ煮(に)熟(じゅく)せざる物くらふべからず。魚を煮るに、煮(に)ゑ(え)ざるはあしゝ。煮過してにえばなを失なへるは味なく、つかへやすし。よき程の節(せつ)あり。魚を蒸(むし)たるは久しくむしても、にえばなを失なはず。魚をにるに水おおきは味なし。此事、李笠翁(りりつおう)が閑情寓寄(かんじょうぐうき)にいへり。
意訳
魚を煮るときは、ほどよく煮ましょう。よく煮えていないものは食べない方が良いでしょう。しかし、味が無くなるほど煮すぎてもいけません。古書に、魚は長く蒸しても味を失いませんが、水を多くして煮ると味を失うと書いてあります。
通解
食材を煮過ぎると、栄養が失われたり、まずいものになることがあります。また、まだ煮熟していないものを食べるべきではありません。魚を煮る場合、十分に煮えていないものは硬く、過煮にすると風味が失われ、かさばりやすくなります。適切な調理のタイミングがあります。
魚を蒸す場合、しっかり蒸しても、栄養が失われることはありません。魚を煮る際に多くの水を使うと、風味が薄くなることがあります。
これらのことについては、詩人李笠翁の『閑情寓寄』という作品でも触れられています。
気づき
食材の良し悪しも、料理の方法一つで変わると聞いたことがあります。その食材の特徴を熟知し、料理の方法を考えるのも、認知症の予防になるのかも知れませんね。
李笠翁とは
李笠翁(りりつおう)は、中国の文学史上で有名な詩人の一人です。李笠翁は、その詩風が豪放で奔放なものであり、またその生涯には波乱に富んだエピソードが多く含まれています。その詩には社会の不条理や人生の苦悩、愛情などをテーマにしたものが多く見られます。代表作には『李笠翁文集』があります。彼の詩は、当時の文学界において新しい方向性を提示し、後の文学の発展に影響を与えました。