養生訓9

富貴にしても、この三の楽なければ、真の楽なし。
故に富貴はこの三楽の内にあらず。
もし心に善を楽まず、また養生の道をしらずして、身に病多く、そのはては短命なる人は、この三楽を得ず。
人となりてこの三楽を得る計なくんばあるべからず。
この三楽なくんば、いかなる大富貴をきはむとも、益なかるべし。

意訳

いくら金銭的に裕福であっても、この三つの楽しみがなければ真の楽しみは得られない。
だから金持ちはこの三楽に入らない。
もし善をしないで、また養生もしないで、病気が多くて短命では幸福とは言えない。
生きるからには、この三楽を得る工夫がなくてはならない。
この三楽がなければ、どのような裕福で名声があっても、何の意味もない。

通解

富貴や物質的な豊かさは、真の喜びや幸福を保証するものではありません。本当の楽しみは、身に善を持ち、養生の道を知り、健康であり、心豊かな状態を得ることによって生まれます。

心に善を楽しまず、自己の成長や他者への奉仕を怠り、養生の道を知らずに病気や健康問題に悩まされ、結果的に短い命を送る人は、真の喜びや幸福を得ることはできません。

したがって、人はこの三つの喜びを追求することに努めるべきです。これらの喜びがなければ、どれほど大きな富や名声を手に入れても、本当の価値や充実感は得られません。真の幸福を追求するために、この三つの喜びを重要視し、日々の生活に取り入れることが大切です。

「富貴」は

「富貴」は、一般的には富や財産を持ち、社会的に成功し、豊かで繁栄している状態を指します。この言葉は、経済的な成功や物質的な豊かさだけでなく、名誉や地位、幸福感、健康などの豊かさや成功も含みます。富貴は、社会的な価値観や文化によって異なるかもしれませんが、一般的には成功や幸福に関連付けられることが多いです。

また、富貴は、個人の努力や運、教育、才能、ビジョンなどさまざまな要因によって築かれることがあります。人々はしばしば富貴を目指し、それを追求することで、自分や家族の生活を向上させ、社会的な地位を高めることを目指すことがあります。

ただし、富貴がすべてではなく、人生における他の重要な要素も存在します。健康、家族、友情、幸福、精神的な充実感など、物質的な成功以外の価値も多くの人にとって重要です。富貴は一つの要素であり、人生の多くの側面と結びついていることを覚えておくことが大切です。

 

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