養生訓52(巻第一総論上)

「たとへば、蛍火(ほたるび) 程(ほど)の火、家につきても、さかんに成て、大(だい)なる禍となるがごとし。
古語(こご)に曰(いわく)ふ。「犯す時は微(び)にして秋毫(しゅうごう)の若(も)し、病を成す重きこと、泰山(たいざん)のごとし」。
此(この)言(げん)むべなるかな。凡(およそ)小の事、大なる災となる事多し。
小なる過(あやまち)より大なるわざはひとなるは、病のならひ也(なり)。慎しまざるべけんや。常(つね)に右の二語(にご)を、心にかけてわするべからず。」

意訳

例えば、大火は始めは蛍の火みたいに小さいです。また、古くから、大病は、最初は気づかないような小さな変化と云います。
この言葉は、心がけるべきです。常に、この言葉を忘れず養生しましょう。

通解

たとえば、蛍の光のような小さな火が家に入っても、急速に広がって大きな火災になることがあります。古いことわざには、「犯す時は微にして秋毫の若し、病を成す重きこと、泰山のごとし」と言います。この言葉は重要です。何か小さな過ちが大きな問題を引き起こすことはよくあります。小さな過ちが大きな失敗へとつながることもあります。慎重に行動することが重要です。常にこの2つの言葉を心に留めておくべきです。

気づき

火事の原因のトップクラスに、「タバコ」があるそうです。「煙草」は、百害あって一利なしと良く聞きますが、これも百害の中に入るのかも知れませんね。何事も、大火になる前に、消し去りたいものですね。