養生訓68

養生訓(原文)

或人(あるいはひと)うたがひて、曰(いわく)。
養生を、このむ人は、ひとゑ(え) に、わが身をおもんじて、命をたもつを専(もっぱら)にす。されども、君子(くんし)は義をおもしとす。
故に、義にあたりては、身をすて命をおしまず、危(あやうき)を見ては、命をさづけ、難にのぞんでは、節(せつ)に死す。
もし、わが身を、ひとへにおもんじて、少なる髪膚(はっぷ)まで、そこなひ、やぶらざらんとせば、大節(たいせつ)に、のぞんで、命をおしみ、義をうしなふべしと云。」

意訳

ある疑い深い人が質問しました。「養生、養生と自分の身体のことばかり、毎日気にしていたら、本来、人生の重大な時に憶病になりませんか?

通解

自分の身を大切にしすぎる人は、利己的に走りやすいのではないかと言う人がいます。

義を守るために、自らの身を捨ててでも命を惜しまず、危険を冒しても命を保とうとし、困難に立ち向かいながらも節操を守って死ぬことを恐れない気概が必要で、もし自分の身を大切にし、少しでも危険を避けようとしていたら、大切な義を失ってしまうのでないか?

気づき

この時代は、江戸初期でもあり、武士が、命がけで主君や国を守るという意識が強かったのかも知れませんね。

ただ、現代社会においても、未だに、企業戦士として、命と投げ打って戦っていらっしゃる方も多いと思います。

「髪膚はっぷ」とは

肌や皮膚に関連する言葉:「髪膚」は「髪」と「皮膚」を組み合わせた言葉と解釈できます。言い回しや比喩:「髪膚」は、感情や体験の強さを強調するための比喩的な表現として使われることがあります。例えば、「彼の言葉は私の髪膚まで震えさせた」というように、感情や印象の深さを表現する際に使われることがあります。

「義をうしなふべし」とは

この表現は、主に古典的な価値観や道徳的な観点からの教訓を表現するために使われます。一般的に、「義をうしなふべし」という文句は、正しい道徳的な行動や義務を怠ることは許されない、という意味を持ちます。つまり、義を守り、正しい行動をすることが重要であり、それを怠ることは許されないという教訓を含んでいます。

養生訓

前の記事

養生訓67
養生訓

次の記事

養生訓69