養生訓45(巻第一総論上)

「たとへば、流水は、くさらず、戸枢(こすう)は、くちざるが如し。
是(これ)うごく者は,長久(ちょうきゅう)なり、うごかざる物は、かへつて命みじかし。
是を以(もって)、四民ともに、事を、よくつとむべし。
安逸(あんいつ)なるべからず。是、すなわち養生の術なり。」

意訳

体を動かすのが良い理由は、流れる水は腐りません。いつも使っている戸は長持ちします。
養生とは、じっと静かにしていることではないのです。

通解

例えば、「流水はくさらず、戸枢はくちざるが如し」ということわざがありますが、これは動くことによって長持ちし、動かないものは劣化していくという意味です。同様に、人も常に活動的であることが大切であり安逸になることは避けるべきです。四民すなわち農・工・商・婦女、すべての人が良く働き、心身を活動的に保つことが養生の術として重要なのです。

気づき

流れている水は常に、きれいで新しいので腐りにくいとの意味だと思います。

日常生活においても、日頃から運動を生活習慣に取り入れている方は、健康な人が多いそうです。

『呂氏春秋』に、流水不垢 戸枢不腐(Liúshuǐ bù gòu hù shū bù fǔ「りゅうすいくさらず、こすうろうせず」ともあります。

身体も頭も、使った方が良いみたいですね。

『呂氏春秋』とは、

秦が多数の学者を集めて編纂させた歴史的文献で、26巻から成る百科全書的な内容と言われています。