養生訓56

「生(せい)を養ふ道は、元気を保(たも)つを本とす。
元気を,たもつ道二あり。まづ,元気を害する物を去り、又、元気を養ふべし。
元気を害する物は,内慾と外邪となり。すでに元気を害するものをさらば、飲食・動静(どうせい)に,心を用て、元気を養ふべし。
たとへば、田をつくるが如し。まづ,苗を害する莠(はぐさ)を去(さり)て後、苗に水をそそぎ、肥(こえ)をして養ふ。
養生も亦かくの如し。まづ、害を去(さり)て後、よく養ふべし。
たとへば、悪を去(さり)て、善を行ふがごとくなるべ
気をそこなふ事なくして、養ふ事を多くす。是(これ) 養生の要(かなめ)なり。つとめ行なふべし。」

意訳

生きる力、所謂、生命力を保つには、弱める原因を取り除き、強める原因を養うことです。
この生命力を保つには二つの方法があります。
例えば、米を作る時に、雑草を取り除き、水をそそぎ、肥料を与えることに似ています。
まず、生活習慣を整えましょう。そして、ストレスを少なくして、充実感のある事を多くしましょう。

通解

生を養う道は、元気を保つことを基本とします。
元気を保つためには、まず元気を害する要因を排除し、そして元気を養うことが必要です。
元気を害する要因としては、内慾と外邪があります。これらによって元気が害される場合は、飲食や動静に気をつけて、元気を養うことが大切です。
例えば、田を作る際にも同様です。まず、苗を害する雑草を取り除いてから、苗に水を与え、肥料を与えて養うようにします。
養生も同じです。まず、体に害を及ぼす要因を排除した後、しっかりと養う必要があります。
例えば、悪い習慣をやめて善い行いをするようにすることで、気を損なうことなく養生に努めることが重要です。これこそが養生の要となります。常に努力して行うべきことです。

「動静」とは

「動静」という言葉は、主に2つの要素で構成されています。これらの要素は、さまざまな文脈で使用されます。

動(どう):
動とは、何かが移動したり、変化したりすることを指します。物事が活発で、変化している状態を表現します。たとえば、人々の行動や動き、経済活動、出来事の進行などが「動」と関連付けられることがあります。

静(せい):
静は、何かが静止していたり、変化がない状態を指します。物事が穏やかで、静かであることを表現します。たとえば、静かな場所、静かな状況、静止した物体などが「静」と関連付けられることがあります。

「動静」とは、これらの対立する要素を指す言葉であり、ある状況や事象において、動きと静けさ、変化と安定などの対照的な要素がどのように関連しているかを示すために使われます。たとえば、ビジネスの文脈では、市場の動静を分析することがあり、市場の変動と安定度を評価します。また、日常生活の中でも、動静のバランスを取ることが重要で、仕事とリラックス、活動と休息などを調和させることが求められます。

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