養生訓41

「酒食(しゅしょく)ともに限(かぎり)を定めて、節(せつ)にこゆべからず。又、わかき時より色慾をつつしみ、精気(せいき)を惜むべし。
精気を多くつひやせば、下部(かぶ)の気よはくなり、元気の根本,たへて必(ず)命短かし。
もし飲食色慾の慎みなくば、日々補薬(ほやく)を服し、朝夕食補(ちょうせきしょくほ)をなすとも、益なかるべし。
又,風寒暑湿の外邪をおそれふせぎ、起居(きしょ)・動静(どうせい)を節にし、つつしみ、食後には,歩行して身を動かし、時々,導引(どういん)して腰腹(こしはら)をなですり、手足をうごかし、労動して血気(けっき)をめぐらし、飲食を消化せしむべし。
一所(ひとつところ)に久しく安坐すべからず。
是,皆養生の要なり。養生の道は、病なき時つつしむにあり。
病,発(おこ)りて後、薬を用ひ、針灸(しんきゅう)を以(もって)病を,せむるは養生の末なり。本をつとむべし。」

意訳
飲みすぎや食べすぎ、そして、過度の欲望を抑えて、規則正しい生活、いわゆる生活習慣を整えれば、病気になりにくくなります。
病気になってから、どんなに薬を飲んでも効果は薄いのです。
食後には、少し運動を行い、座り続けることを避け、歩くなどの簡単な運動をすることも良い事です。
養生の基本は、病になる前に予防することです。
どんな薬でも副作用はあります。
まずは、病気にならないための努力をすべきです。

通解

「飲食ともに適度に制限を設けて、節制を怠るべきではありません。また、若い時から色欲を慎み、精気を大切にするべきです。精気を過度に消耗すれば、体の下部の気が失われ、元気の根本である精気を減らして必然的に寿命が短くなります。

飲食や色欲を慎まない場合、日々補助的な薬を摂取し、朝夕に食べ物を補給しても、効果は乏しいでしょう。

また、風寒暑湿などの外からの邪気を防ぎ、日常の生活や動作を節制し、慎重に行動し、食後には歩行して身体を動かし、時々導引法を行って腰腹を揉むこと、手足を動かして労働して血気をめぐらせ、飲食を消化することが重要です。一つの場所に長時間座ることは避けるべきです。

これらはすべて健康を保つための重要な要素であり、健康を維持する道は病気がない時にこそ慎重に遵守するべきものです。もし病気が発生した後は、薬や針灸を用いて病気を治療することは養生の最後の手段となります。健康を重んじるべきです。」

「朝夕食補(ちょうせきしょくほ)」とは

「朝夕食補(ちょうせきしょくほ)」という言葉は、中国の伝統的な医学や食事療法に関連する概念で、特定の食材や食事の方法を通じて、体の栄養を補充し、健康を促進することを指します。この概念は、食事のタイミングと内容を調整することで、体に必要な栄養素を効果的に摂取しようとするものです。

一般的に、「朝夕食補」は次のような要点で説明されます:

朝夕の食事: この概念では、特に朝食と夕食に着目します。これらの食事は日中のエネルギーを供給し、体を活発に保つために重要です。

栄養バランス: 朝夕の食事は、バランスの取れた栄養を含むように計画されます。たんぱく質、炭水化物、脂質、ビタミン、ミネラルなど、全ての必要な栄養素が摂取されるように心がけます。

食材の選択: 食事には新鮮な食材や季節の野菜、健康的なたんぱく質源、穀物などが含まれることが一般的です。また、特定の健康効果を持つ食材や漢方薬草が使用されることもあります。

食事の摂取タイミング: 朝食はエネルギーを補充し、体を活動的にするために重要であり、夕食は日中の活動後のリカバリーと体の修復を促すために重要です。摂取タイミングも考慮されます。

「朝夕食補」は、体調や季節に応じて調整されることがあり、中国の伝統的な医学や食事療法の一部として実践されています。これは、食事を通じて健康を維持し、病気を予防するためのアプローチの一つです。ただし、個々の健康状態や食事制限に応じて、食事を調整することが重要です。

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