養生訓11(巻第一総論上)

「養生(ようじょう) の術は、先(まず)わが身をそこなふ物を去(さる) べし。身をそこなふ物は、内慾(ないよく) と外邪(がいじゃ) となり。
内慾とは、飲食(いんしょく)の慾、好色(こうしょく)の慾、睡(ねむり) の慾、言語(げんご) を、ほしゐままにするの慾と、喜(き) ・怒(ど)・憂(ゆう)・思(し)・悲(ひ)・恐(おそれ)・驚(きょう)の七情(しちじょう)の慾を云(いう)。
外邪とは、天の四気(しき)なり。風(ふう)・寒(かん)・暑(しょ)・湿(しつ)を云(いう)。
内慾をこらゑて、すくなくし、外邪をおそれてふせぐ、是を以(もって)、元気をそこなはず、病なくして天年(てんねん)を永(なが)くたもつべし。」

意訳

養生の知恵としては、まず、自分の身を損なうこと、すなわち、マイナスと思われることを取り去ることです。マイナスの事には、自分自身の問題と自然環境の問題の二つがあります。
自分自身の問題とは、出来るだけ欲を控えることです。
そして、自然環境の問題とは、災害などに対して、油断なく注意を払うことです。自然に対して慢心にならない事です。
この二つを、わきまえて生きていけば、元気で長生き出来ます。

通解

養生の術は、まず自分の身体を損なう要因を取り除くことが大切です。身体を損なう要因とは、内なる欲望と外からの邪気です。
内なる欲望とは、飲食の欲望や好色の欲望、睡眠の欲望、言葉を思いのままにする欲望、そして喜び・怒り・憂い・思い・悲しみ・恐れ・驚きの七つの情動の欲望を指します。
外からの邪気とは、風・寒さ・暑さ・湿気の四つの気候要因です。
これらの内なる欲望を抑えて少なくし、外からの邪気を恐れて避けることで元気を損なうことなく病気を防ぎ長寿を保つことができます。

「天の四気(てんのしき)」とは

「天の四気(てんのしき)」は、古代中国の思想や医学に関連する概念で、特に古代中国の医学や気象学において重要な役割を果たしていました。
これは、天空に存在する四つの気象要素を指します。
これらの四気は季節や気象の変化に関連付けられ人体の健康にも影響を与えると考えられていました。

天の四気は通常、次のように説明されます:

風(ふう):風は春季に関連付けられ新たな生命の気を象徴します。風が穏やかで調和していると健康な成長と活力をもたらすとされました。

暑(しょ):暑は夏季に関連付けられ陽気で温かい気候を表します。暑が適切に調整されていると夏の熱に対する適切な抵抗力を維持できると考えられました。

湿(しつ):湿は秋季に関連付けられ、湿度や湿気を表します。湿が適切に制御されていると、秋の健康をサポートし、体内のバランスを維持するのに役立つとされました。

寒(かん):寒は冬季に関連付けられ、寒冷な気候や寒さを表します。寒が調和されていると、冷たい季節に対する適切な耐性を持つことができるとされました。

これらの四気は、古代中国の医学や哲学において、自然界と人体の調和とバランスに関する重要な概念であり、中医学などの伝統的な医学体系に影響を与えました。
天の四気のバランスが崩れると体内の気の流れや健康に問題が生じると信じられていました。

 気づき

 最近、ことに、自然災害が多くなった気がします。でも、昔に比べ現代は、気象情報や地震速報などの発達により避難方法のバリエーションも増えてきていますね。ただ、何事も、情報を的確につかみ、それを、躊躇なく実行する勇気も必要かも知れませんね。