養生訓 4

 

身命と私慾との軽重をよくおもんぱかりて、日々に一日を慎しみ、私慾の危(あやうき)をおそるること、深き淵にのぞむが如く、薄き氷をふむが如くならば、命ながくして、ついに殃(わざわい)なかるべし。豈(あに)、楽まざるべけんや。

意訳

自分の健康と欲望のどちらが大切かをよく考えるべきです。病気になった時のことを想像して、薄い氷を踏むように細心の注意をして暮らしていけば、長生きして、災いさえも免れるでしょう。
それは、人生の喜びです。

通解

身体と命を大切にし、私的な欲望とのバランスを考え、日々を慎重に過ごすことは重要です。私慾に流されずに慎み深く行動することは、深い渓谷を覗き見るような慎重さや、薄い氷を踏むような慎重さを持つことに似ています。このような心構えを持つことによって、命を長く維持し、災難を避けることができるでしょう。命無くして何の楽しむことができようか。」

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