養生訓 3

人の身は父母を本とし、天地を初とす。
天地父母のめぐみをうけて生れ、又養はれたるわが身なれば、わが私の物にあらず。
天地のみたまもの、父母の残せる身なれば、つつしんでよく養ひて、そこなひやぶらず、天年を長くたもつべし。

意訳

人は父母から生まれ、そして、家族がある。
だから、自分のもののようであるが、決して自分だけのものではない。
家族が悲しまないように、慎んでよく養い、損なわず、健康で長生きしなければならない。

通解

人の身体は父母を起源とし、天地からの恩恵によって生まれ、養われています。したがって、自分の身体は私的な所有物ではありません。身体は天地や父母から授かったものであり、それを大切にし、良好な養生を行うことで、身体を損なわずに長寿を保つべきです。

天地とは

「天地」という言葉は、一般的に宇宙全体を指す表現として使用されます。これは、自然界や宇宙全体の存在や概念を包括的に表現するために使われる言葉です。

以下に「天地」のいくつかの一般的な意味や用法を説明します:

宇宙全体:「天地」という言葉は、宇宙の全体を指すことがあります。天空や星座を含む天空の領域を「天」と呼び、地球や大地、自然界を「地」と呼び、これらを合わせて宇宙全体を表現することがあります。この意味での「天地」は、宇宙の創造や存在の起源に関連する宗教的な文脈でも使用されることがあります。

自然界:「天地」は、自然界や自然環境全体を指す際にも使用されます。これは、大気、地球、海洋、山、動植物、天候など、地球上のすべての自然の要素を包括的に表現する言葉です。日常会話や文学、詩などで、自然の美しさや力強さを讃える際にしばしば使われます。

対照や比較:「天地」は、対照的な要素や相反する事柄を比較する際にも使用されます。たとえば、性格や価値観、能力などが大きく異なる二つのものを比較するとき、「天と地の差」という表現が使われることがあります。この場合、差の大きさを強調するために「天地」という表現が使われます。

要するに、「天地」は宇宙全体や自然界を指す広範な概念として使用され、また比較や対照の際にも使われる表現です。文学、詩、宗教、哲学、日常会話などさまざまな文脈で登場し、意味合いはその文脈に応じて異なることがあります。

天年とは

「天年(てんねん)」は、日本語の表現であり、一般的に「寿命」や「年寄りになる年齢」を指す言葉です。具体的には、高齢であることや、人生の最期の年を指すときに使用されます。一般的に、「天年」は年を取ったり老齢に達したりした人々が、その人生を振り返る時期を表すことが多いです。

この言葉は、個人の寿命が神や運命、自然の摂理に従って決まるという信念を反映しています。つまり、人は生まれたときから寿命が決まっており、その寿命が尽きるまで生きることができるとされています。

「天年」はしばしば、敬意を表すために用いられ、高齢者に対して尊重や感謝の念を示す際に使われます。

要するに、「天年」は日本語での寿命や老年に関する表現であり、年齢的な意味合いや人生の終末期に関連する概念です。

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