養生訓 2

養生の術をまなんで、よくわが身をたもつべし。是人生第一の大事なり。
人身は至りて貴とくおもくして、天下四海にもかへがたき物にあらずや。然るにこれを養なふ術をしらず、慾を恣にして、身を亡ぼし命をうしなふこと、愚なる至り也。

意訳

養生の方法を学んで健康を保つことは、人生で一番大事な事です。
自分の身体はきわめて貴重なもので何物にもかえがたいものだから、養生の方法を知らないで、欲のままに身を滅ぼし、命を失うのはこれ以上愚かな事はないと思います。

通解

養生の術を学び、自分自身を大切に保つことは非常に重要です。人の身体は貴重であり、世界中のどんな富や財産とも比べものになりません。しかし、多くの人が養生の方法を知らず、欲望に任せて身体を損ない、命を失ってしまうことは、愚かなことです。」

養生訓の時代背景

貝原益軒の「養生訓」が執筆された時代は、江戸時代として知られており、1603年から1868年までの約260年間にわたります。以下に、その時代の背景について説明します。

幕府の成立: 江戸時代は、徳川家康によって日本で初めての幕府が成立した時期です。1603年に家康が江戸に幕府を開き、日本を統治しました。これにより、長らく続いた戦国時代の動乱が終結し、平和な時代が訪れました。

平和と安定: 幕府の統治により、国内の戦乱が鎮静化し、国内外の安定が取り戻されました。この時期、特に江戸(現在の東京)が政治の中心地となり、日本の文化や社会が発展しました。

社会階層の確立: 幕府は、社会階層を厳格に確立し、武士、農民、商人などが明確に役割を持つようになりました。武士階級が支配的で、平和な時代においても武士の価値観や道徳が重要視されました。

文化の隆盛: 平和な環境が文化の発展に寄与しました。江戸時代には武道や茶道、俳句、浮世絵、歌舞伎など、多くの文化が栄えました。また、学問や医学も重要な分野として発展しました。

貝原益軒と「養生訓」: 貝原益軒はこの時代に生きた人であり、彼の「養生訓」は江戸時代の健康法と生活指針をまとめたもので、当時の人々に健康に関する重要な知識を提供しました。

江戸時代は、平和と繁栄が並存した時代であり、文化や知識の蓄積が進みました。貝原益軒の「養生訓」は、この時代背景の中で生まれ、日本の健康と生活に関する重要な文献となりました。

「養生の術」

「養生の術」とは、身体と精神の健康を維持し、増進するための方法や技術のことを指します。養生の術は、食事、運動、精神的な健康、睡眠、生活環境など、さまざまな要素に関連しています。以下に、養生の術に関連するいくつかの主要な要素を紹介します。

食事: 健康な生活を維持するためには、適切な栄養を摂ることが重要です。バランスの取れた食事、新鮮な食材、野菜、果物、タンパク質、炭水化物などの各栄養素を適切に摂取することが健康に貢献します。また、過剰な塩分や砂糖の摂取を制限することも大切です。

運動: 運動は筋肉を強化し、体重を管理し、心血管機能を向上させるのに役立ちます。適度な運動を継続的に行うことは、身体の健康をサポートし、ストレスを軽減するのにも役立ちます。

精神的な健康: ストレス管理、リラクゼーション、瞑想、心の平静など、精神的な健康も養生の一部です。ストレスや不安を適切に処理し、心の安定を保つことは、身体の健康に大きな影響を与えます。

睡眠: 十分な睡眠は、体内の修復や回復に不可欠です。規則的な睡眠スケジュールを持ち、良質な睡眠を確保することは、養生の重要な要素です。

生活環境: 住環境や職場の環境が健康に影響を与えることもあります。健康的な生活環境を整え、有害な化学物質やストレス要因を最小限に抑えることが大切です。

医学的なケア: 養生の術には、定期的な健康診断や医学的なアドバイスも含まれます。専門家の指導を受け、必要に応じて医療ケアを受けることが、健康を維持するために不可欠です。

養生の術は、個人の生活習慣や健康状態に応じて異なることがあります。健康の維持や増進に興味がある場合、専門家のアドバイスを受けたり、健康的な生活習慣を身につけることが大切です。

 

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