養生訓167
飯(めし)のすゑ(え)り、魚のあざれ、肉のやぶれたる、色のあしき物、臭(か)のあしき物、にえばなをうしなへる物くらはず。朝夕の食事に、あらずんばくらふべからず。又、早くしていまだ熟せず、或(あるいは)いまだ生ぜざる物、根をほりとりて、めだちをくらふの類、又、時過(す)ぎてさかりを失(うしな)へる物、皆、時ならざる物也。くらふべからず。
是(これ)論語に、のする処、聖人(せいじん)の食(しょく)し給(たま)はざる物なり。聖人身を慎み給ふ、養生の一事なり。法とすべし。
又、肉は多けれども、飯の気にかたしめずといへり。肉を多く食ふべからず。食は飯(めし)を本(もと)とす。何の食も飯より多かるべからず。
意訳
臭いのする、ご飯やおかず、古くなった魚貝は、出来るだけ控えた方が良いでしょう。間食も、ほどほどにしましょう。旬のものを食べましょう。これらは、論語に書いてあります。養生は実践です。昔の人は、経験上から、これらの方法を見つけました。
通解
飯(めし)のうるさめ、魚の臭い、肉の傷んだもの、色の変わった物、臭いのきつい物、腐っているもの、新鮮さを失った物、腐った物、これらの食材は避けるべきです。朝と夕の食事がない場合でも、食べない様にしましょう。また、未熟なものやまだ調理されていない食材、根を掘り取って収穫するものや、その時期を過ぎて収穫したもの、これらの食材も摂るべきではありません。適切な時期に摂取することが大切です。
これは論語にも記されており、聖人たちはこれらの食材を避けています。聖人たちは自身の身体を慎み、健康を保つために様々な配慮をしています。このことを心得て実践することが重要です。また、肉は量が多くても、飯の栄養には満たないと言われています。肉を過剰に摂るべきではありません。食事の基本は飯(めし)です。どの食材も、飯に比べて過剰な量を摂るべきではありません。
気づき
私は、元来の貧乏性なのでしょうか、もったいないが身についているような気がします。これからの老後の生活は取捨選択を心掛けたいと思います。
取捨選択[しゅしゃせんたく]=悪いものや不必要なものを捨てて,良い物・必要なものを選びとること。