養生訓179(巻第三 飲食 上)

人、他郷(たごう)にゆきて、水土(すいど)かはりて、水土に服せず、わづらふ事あり。先(ま)づ、豆腐(とうふ)を食すれば脾胃(ひい)調(ととのい)やすし。是、時珍(じちん)が食物本草(しょくもつほんそう)の注(ちゅう)に見えたり。山中(さんちゅう)の人、肉食(にくしょく)ともしくて、病すくなく命長し。海辺(かいへん)、魚肉多き里にすむ人は、病多くして命短し、と千金方(せんきんほう)にいへり。

意訳

風土や環境が変われば、水や食べ物も変わり、病気になることがあります。そんな時は、豆腐などを食べて、胃腸を整えましょう。この事は、昔の中国の医学書に書いてあります。また、山暮らしの人は、街に住む人に比べて、長生きとも書いてあります。

通解

人が他の土地に行って、その水や土地に馴染めずに不調を起こすことがあります。まず、そのような場合には豆腐を食べることで脾胃の調子が整いやすくなります。これは時珍の「食物本草」の注釈にも記載されています。山間地に住む人々は肉を食べても病気にかからず、長命であることが多いです。一方で海辺に住む人々は魚や肉を多く摂ることが多いですが、病気が多く、寿命が短いことがあります。このことは「千金方」でも言及されています。

気づき

旅行に行った時など、食事などの環境が変われば、体調が悪くなるともありますね。

時珍とは

時珍(しちん、1593年 – 1641年)は、中国明代後期から清代初期の医学者で、その名前は李時中(り じちゅう)とも呼ばれます。彼は主に『本草綱目』(Bencao Gangmu)という著作で知られています。この書は、中国の薬草や医薬品に関する包括的な百科事典であり、中国医学の重要な文献の一つとされています。『本草綱目』は、当時の医学知識や薬物学、動植物学に関する包括的な内容を取りまとめたもので、その規模と深さは非常に印象的です。時珍は個々の薬草だけでなく、動物や鉱物なども含め、さまざまな自然物に関する情報を収集し、それを体系的に整理しています。彼の『本草綱目』は、中国の伝統医学や薬学の発展に大きな影響を与え、後の時代においても重要視され続けました。

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