養生訓177(巻第三 飲食 上)
うえて食(しょく)し、かはきて飲むに、飢渇(きかつ)にまかせて、一時に多く飲食すれば、飽満(ほうまん)して脾胃(ひい)をやぶり、元気をそこなふ。飢渇(きかつ)の時、慎むべし。又、飲食いまだ消化せざるに、又、いやかさねに早く飲食すれば、滞(とどこお)りて害となる。よく消化して後、飲食を好む時のみ食ふべし。如此(かくのごとき)すれば、飲食皆養(いんしょくかいよう)となる。四時(しじ)、老幼(ろうよう)ともに、あたたかなる物くらふべし。殊(こと)に夏月(かげつ)は伏陰内(ふくいんない)にあり。わかく盛(さかん)なる人も、あたたかなる物くらふべし。生冷(なまびえ)を食すべからず。滞やすく泄瀉(せいしゃ)しやすし。冷水(れいすい)多く飲むべからず。
意訳
空腹時や喉の渇きが激しい時に、過食したり、一気に飲んだりすると胃腸に良くありません。また、胃の中に未消化の物がまだある場合、さらに、飲食すれば、身体に良くありません。高齢者や子供は、四季を問わず、温かいものを食べると良いです。生ものや冷たいものは下痢を起こしやすいからです。
通解
食べた後や喉の渇きを覚えた際に、急いで多くの飲食物を摂ることは、飢えと渇きを我慢せずに一度に摂ることで、飽満感が生じ、脾胃を傷つけ、元気を損なうことになります。飢えと渇きの時には、慎重に摂るよう心掛けましょう。また、消化されていない状態で急いで飲食することや、体調が悪い状態で急いで飲食することは、消化不良を引き起こし、害となることがあります。しっかりと消化されてから、飲食を好む時にのみ摂るべきです。これに従うことで、飲食が全て身体を養うものとなります。四季を問わず、若者から老人まで、温かい食物を摂るべきです。特に夏の季節は暑さの中にいるため、体を温める食事が大切です。生の冷たい食べ物を避けましょう。これらは消化が悪く、下痢の原因にもなります。冷たい水を多く飲むことも避けるべきです。
気づき
基本的に、食べ物は温かくして食べた方が良いみたいですね。