養生訓9(巻第一総論上)

萬(よろず)の事(こと)つとめてやまざれば必(ず)しるしあり。
たとへば、春たねをまきて夏よく養(やしな)へば、必(かならず)秋ありて、なりはひ多きが如(ごと)し。
もし、養生の術をつとめまなんで、久しく行(おこな)はば、身(み)つよく病なくして、天年(てんねん)をたもち、長生(ちょうせい)を得て、久しく楽(たのし)まん事、必然のしるしあるべし。此理(このり)うたがふべからず。」

意訳

どんなことでも,一生懸命に努力すれば、それなりの結果は出るものです。
例えば、春に種を蒔いて、夏によく手入れをすれば、必ず、秋には多く収穫できます。
養生の知恵も同じことです。養生の知恵を学んで実行すれば、病気になる確率は大いに減少するはずです。
これは、当たり前の理屈です。

通解

万事を丹念に取り取り組めば、必ず結果が現れます。例えば、春に種をまいて夏にしっかりと育てれば、必ず秋に収穫があり豊かな成果が得られるでしょう。同じように、養生の術を真剣に実践し続ければ、長い間元気で病気知らずの身体を保ち、長寿を得て、幸福な生活を送ることができるでしょう。これは間違いのない真理ですので信じるべきです。

「萬の事」とは

「萬の事」という表現は、日本語で「何かのこと」「あらゆること」「すべてのこと」といった意味を表す表現です。この表現は、ある事柄や状況について、その範囲が非常に広いことを強調するために使われます。例えば、以下のように使うことができます。

彼は萬の事に気を使う人だ。
(彼は何かのことに対して非常に細心の注意を払う人だ。)

この本は萬の事をカバーしています。
(この本はあらゆる事柄について詳しく説明しています。)

彼女は萬の事を知っているように見える。
(彼女はさまざまなことについて知識があるようだ。)

この表現は、広い範囲のことに言及する際に便利な言い回しですが、文脈によっては適切に使用することが重要です。