養生訓220(巻第四 飲酒)

凡(およそ)酒は夏冬(なつふゆ)ともに、冷飲熱飲(れいいんねついん)に宣(よろ)しからず。温酒(おんしゅ)をのむべし。熱飲(ねついん)は気升(のぼ)る。冷飲(れいいん)は痰(たん)をあつめ、胃をそこなふ。
丹渓(たんけい)は、酒は冷飲(れいいん)に宣(よろ)しといへり。
然(しか)れ共(ども)多くのむ人、冷飲(れいいん)すれば脾胃(ひい)を損(そん)す。少し飲む人もし冷飲すれば、食気(ようき)を滞(とどこ)らしむ。
凡(およそ)酒をのむは、其(その)温気(おんき)をかりて、陽気(ようき)を助け、食滞(しょくとどこうり)をめぐらさんがため也。冷飲(れいいん)すれば二(ふたつ)の益なし。温酒(おんしゅ)の陽(よう)を助け、気をめぐらすにしかず。