養生訓103(巻第二総論下)

長生の術は食色(しょくしき)の慾をすくなくし、心気(しんき)を和平(わへい)にし、事に臨(のぞ)んで常に畏(おそれ)・慎(つつしみ)あれば、物にやぶられず、血気(けっき)おのづから調(ととの)ひて、自然に病なし。かくの如くなれば長生す。是、長生の術也。此術(このじゅつ)を信じ用(もち) ひば、此術の貴(たっ)とぶべき事、あたかも萬金(まんきん)を得たるよりも重かるべし。

意訳

養生の技術を一言で言えば、過食を控え、ストレスを少なくして、常に心を平和にして、すべての事に慎重に対処すれば、自然に健康になります。この技術を信じ用いたならば、どのような宝にも勝る財産を手に入れたことになります。

通解

長寿の方法は、食欲や色欲を抑え、心と気を平和に保ち、あらゆる状況に対して畏れと慎重さを持って臨むことです。これによって外部の刺激に流されず、血気が自然に調整され、病気になりにくくなります。これが長寿の方法です。この方法を信じて実践すれば、その価値はまるで巨万の富を手に入れるよりも重要であると言えるでしょう。

気づき

健康な時は、健康の有難さが分からないとも言います。どんな名声や富があっても、やっぱり、健康が一番かも知れませんね。

心気とは

心気(しんき)」という言葉は、一般的に「気持ち」や「心情」を指す表現として使われます。これは、ある状態や感情、思いなど、主観的な内面の状態を表す言葉です。例えば、特定の出来事に対する感情や、個人の気持ちを表現する際に、「心気が晴れる」「心気が沈む」といったように使われることがあります。

 

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