養生訓92(巻第二総論下)
津液(しんえき)をばのむべし。吐(は)べからず。痰(たん)をば吐べし、のむべからず。痰(たん)あらば紙にて取べし。遠くはくべからず。水飲津液(すいいんしんえき)すでに滞りて、痰となりて内にありては、再(び)津液とはならず。痰、内にあれば、気をふさぎて、かへつて害あり。此(この)理をしらざる人、痰を吐ずしてのむは、ひが事也(ことなり)。痰を吐く時、気をもらすべからず。酒多くのめば痰を生じ、気を上(のぼ)せ、津液をへらす。
意訳
唾液は、吐かない方がよいでしょう。痰は、吐いた方が良いでしょう。痰を吐くときは、紙で拭き取りましょう。痰が身体の中にあると元気を塞ぎます。お酒を飲みすぎると痰が多くでます。唾液は、逆に減ります。
通解
津液は摂取すべきであり、吐き出すべきではありません。痰がある場合には吐き出すべきであり飲むべきではありません。
痰がある場合は、紙などで取り除くべきです。遠くには吐き出すべきではありません。水を飲むときにも津液がすでに滞っていて痰になっている場合は再び津液に変わることはありません。
痰が内にある状態では、気が詰まり害を引き起こす可能性があります。これを知らない人が痰を吐かずに飲むことは、逆効果です。痰を吐く際には、気を吐き出すことは避けるべきです。また、過度に酒を摂取すると痰を生じ、気を興奮させ津液を減少させる可能性があります。
気づき
お酒と痰が関係するとは思いもしませんでしたが、痰は飲まないことがいいことは理解出来ました。