養生訓113

心をしづかにしてさはがしくせず、ゆるやかにしてせまらず、気を和(やわらか)にしてあらくせず、言(ことば)をすくなくして声を高くせず、高くわらはず、つねに心をよろこばしめて、みだりにいからず、悲をすくなくし、かへらざる事をくやまず、過(あやまち)あらば、一(ひと)たびは、わが身をせめて二度悔(くい)ず、只(ただ)天命をやすんじてうれへず、是心気(しんき)をやしなふ道なり。養生の士、かくのごとくなるべし。

意訳

静かにして騒がず、ゆったりとして、やわらかく荒くせず、言葉少なく、声高くせず、大笑いせず、みだりに怒らず、失敗は一度反省し、二度と悔やまず。
これ、精神を養う方法。

通解

心を静かに保ちながらも緊張しすぎず、リラックスした態度を保ちながらも怠けず、気持ちを穏やかに保ちつつ過度に興奮しないようにし、言葉を控えめにして大声で話さないようにし、過度に高い声を出さずに笑顔を絶やさず、常に喜びの心を持ち、無理に他人と競わないようにし、悲しみを最小限に抑え、後悔しないよう努力し、過ちがあれば一度謝り、二度と同じ過ちを繰り返さないようにし、ただ天命に従って静かに喜ぶ心と気持ちを持ち続けることが、健康を保つための道です。養生を心がける人は、このような態度を取るべきです。

気づき

怒ったときは、血圧も上昇するそうです。逆に、笑うことは免疫力が上がるそうです。精神と身体は一体なのかも知れませんね。

養生の士とは

「養生の士」は、日本の伝統文化や武道において、健康を維持し、身体や精神を養うために努力し、修行する人を指す言葉です。この用語は主に日本の武道や禅宗の文脈で使用されています。

養生の士は、健康を保つために体の訓練やストレッチ、食事制限、禅の瞑想などを通じて身体と心を調和させることを目指します。また、武道の修行者としても知られており、武道の技術や哲学を通じて身心の鍛錬を行います。彼らは常に健康でバランスの取れた生活を追求し、高い倫理観や道徳的な価値観も重要視されます。

養生の士は、健康や長寿に対する意識が高い人々として尊敬され、その生活様式や価値観は日本の伝統文化に深く根付いています。武道においても、身体と心の調和が重要であり、健康な体とクリアな精神状態を持つことが高度な技術の獲得に不可欠であるとされています。

「養生の士」の概念は、日本の伝統的な文化や生活哲学において、健康と幸福を追求するための大切な要素として存在しています。

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