養生訓113
心をしづかにしてさはがしくせず、ゆるやかにしてせまらず、気を和(やわらか)にしてあらくせず、言(ことば)をすくなくして声を高くせず、高くわらはず、つねに心をよろこばしめて、みだりにいからず、悲をすくなくし、かへらざる事をくやまず、過(あやまち)あらば、一(ひと)たびは、わが身をせめて二度悔(くい)ず、只(ただ)天命をやすんじてうれへず、是心気(しんき)をやしなふ道なり。養生の士、かくのごとくなるべし。
意訳
静かにして騒がず、ゆったりとして、やわらかく荒くせず、言葉少なく、声高くせず、大笑いせず、みだりに怒らず、失敗は一度反省し、二度と悔やまず。
これ、精神を養う方法。
通解
心を静かに保ちながらも緊張しすぎず、リラックスした態度を保ちながらも怠けず、気持ちを穏やかに保ちつつ過度に興奮しないようにし、言葉を控えめにして大声で話さないようにし、過度に高い声を出さずに笑顔を絶やさず、常に喜びの心を持ち、無理に他人と競わないようにし、悲しみを最小限に抑え、後悔しないよう努力し、過ちがあれば一度謝り、二度と同じ過ちを繰り返さないようにし、ただ天命に従って静かに喜ぶ心と気持ちを持ち続けることが、健康を保つための道です。養生を心がける人は、このような態度を取るべきです。
気づき
怒ったときは、血圧も上昇するそうです。逆に、笑うことは免疫力が上がるそうです。精神と身体は一体なのかも知れませんね。