養生訓87

「気は、一身体(いちしんたい)の内にあまねく行わたるべし。
むねの中(なか) 一所(ひとところ)に、あつむべからず。
いかり、かなしみ、うれひ、思ひ、あれば、胸中(きょうちゅう)一所ひとところ)に気とどこほりてあつまる。
七情(ななじょう)の過(すぎ)て滞(とどこう)るは病の生(しょうず)る基(もと)なり。」

意訳

心の中に怒り、悲しみ、うれい、苦悩があれば、気分が滞り病気の原因になるでしょう。

通解

気は一つの身体の中で全体に行き渡るべきです。胸の中の一箇所にだけ集まるべきではありません。怒りや悲しみ、喜び、思いなどがあると、胸中の一箇所に気が滞ることがあります。七つの感情の過剰で滞ることが、病気の発生の基となるのです。

気づき

江戸時代の初期において、怒りや悲しみ、うれいがあれば、身体に良くないことは分かっていても、病気の原因にまで言及されていることに、少なからず驚かされました。ストレスが、身体に影響することは、今も昔も変わらない事ですかね。


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