養生訓83

「聖人(せいじん)は未病(みびょう)を治すとは、病(やまい) いまだおこらざる時、かねてつつしめば病なく、もし飲食・色欲などの内慾をこらえず、風寒暑湿(ふうかんしょしつ) の外邪(がいじゃ) をふせがざれば、其(その)おかす事はすこしなれども、後に病を、なす事は大(だい)にして久(ひさ)し。
内慾と外邪をつつしまざるによりて、大病(たいびょう)となりて、思ひの外にふかき、うれひにしづみ、久しく苦しむは、病のならひなり。」

意訳

中国の故事に、「名医は、病気になる前に、病気を治す。」と云われています。病気の前兆を感じとり、
早めの予防と対策を行うことで重篤化させないのが名医だといえます。生活習慣の改善が、大病を予防します。

通解

聖人たちは、未病を治す方法を知っています。それは、まだ病気が発症する前に、事前に注意深く身を守ることです。もし病気がまだ起こっていない段階で、適切な予防措置を取れば、病気を防ぐことができます。また、飲食や色欲などの内からくる欲望を抑えず、外部からの風や寒暑湿気などの邪気を遮らない限り、少しの不調は起こるかもしれませんが、後に大きな病気になることがあります。

内からくる欲望と外からくる邪気を適切に抑えない限り、重篤な病気が発症してしまい、心が深く悲しみや苦しみに包まれ、長い間苦しむことになります。このように、未病を治すためには、身体と心のバランスを保ち、欲望を抑え、外部からの悪影響を適切に避けることが重要です。

気づき

もしかしたら、本当は自分の中に、名医がいるのかも知れませんね。

「聖人」(saint)とは

「聖人」(saint)は、宗教的な文脈や宗教哲学においてさまざまな意味を持つ用語です。

宗教的な聖人: 多くの宗教(特にキリスト教、イスラム教、仏教、ヒンドゥー教など)において、聖人は特別な霊的な資質や道徳的な高潔さを持つとされる人物を指します。彼らは神聖な存在と見なされ、信者たちによって崇拝されたり、模範とされたりします。聖人は神秘的な経験や奇跡を経験したと信じられ、しばしば宗教的な教えや精神的な指導を提供しました。

キリスト教における聖人: キリスト教において、聖人は特にキリスト教教義に従った生活を送り、キリスト教共同体に貢献した人々を指します。キリスト教の聖人はカトリック教会や正教会などの宗派によって列聖(聖人と認定)され、彼らの生涯や業績は記念日や祈りの対象となります。

仏教における聖人: 仏教において、聖人は仏陀(釈迦牟尼仏)や菩薩(覚者を目指す存在)など、霊的な覚醒を達成した存在を指します。彼らは仏教徒たちによって尊敬され、模範とされ、その教えや修行方法に従うことを奨励されます。

一般的な用語としての聖人: 「聖人」は宗教以外の文脈でも使用されることがあります。これは、道徳的に高尚で善良な人、崇高な人、または偉大な人を指す形容詞として用いられます。この場合、特定の宗教的な信仰とは無関係で、社会的な尊敬や賞賛を受ける人々に対して用いられることがあります。

「聖人」の意味は文脈によって異なりますが、一般的には高潔で模範的な存在を指す言葉として広く理解されています。


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