養生訓83

「聖人(せいじん)は未病(みびょう)を治すとは、病(やまい) いまだおこらざる時、かねてつつしめば病なく、もし飲食・色欲などの内慾をこらえず、風寒暑湿(ふうかんしょしつ) の外邪(がいじゃ) をふせがざれば、其(その)おかす事はすこしなれども、後に病を、なす事は大(だい)にして久(ひさ)し。
内慾と外邪をつつしまざるによりて、大病(たいびょう)となりて、思ひの外にふかき、うれひにしづみ、久しく苦しむは、病のならひなり。」

意訳

中国の故事に、「名医は、病気になる前に、病気を治す。」と云われています。病気の前兆を感じとり、
早めの予防と対策を行うことで重篤化させないのが名医だといえます。生活習慣の改善が、大病を予防します。

通解

聖人たちは、未病を治す方法を知っています。それは、まだ病気が発症する前に、事前に注意深く身を守ることです。もし病気がまだ起こっていない段階で、適切な予防措置を取れば、病気を防ぐことができます。また、飲食や色欲などの内からくる欲望を抑えず、外部からの風や寒暑湿気などの邪気を遮らない限り、少しの不調は起こるかもしれませんが、後に大きな病気になることがあります。

内からくる欲望と外からくる邪気を適切に抑えない限り、重篤な病気が発症してしまい、心が深く悲しみや苦しみに包まれ、長い間苦しむことになります。このように、未病を治すためには、身体と心のバランスを保ち、欲望を抑え、外部からの悪影響を適切に避けることが重要です。

気づき

もしかしたら、本当は自分の中に、名医がいるのかも知れませんね。


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