養生訓58(巻第一総論上)
「養生に志(こころざし)あらん人は、心につねに主(しゅ)あるべし。
主あれば、思慮(しりょ)して是非(ぜひ)をわきまへ、忿(いかり)をおさえ、慾をふさぎて、あやまりすくなし。
心に主(しゅ)なければ、思慮なくして忿(いかり)と慾をこらえず、ほしゐ(い) まゝにしてあやまり多し。」
意訳
健康を目指す人は、自己の確立が必要です。自分の考えがしっかりしていれば、悪い縁に会っても適切に対応できます。もし、健康への自立した心が無ければ、怒りと欲に流されてしまいます。
通解
養生を志す人は、常に心に主(自己管理の意味)を持つべきです。主がいることで、物事を慎重に考え是非を判断し怒りを抑え欲望を抑制し過ちを少なくすることができます。
心に主がいれば、思慮に欠けることなく、怒りや欲望をこらえ無駄な過ちをしないで済みます。一方で、心に主がいなければ、思慮を欠いて怒りや欲望に負け、または欲望にまかせて過ちを犯すことが多くなるでしょう。
気づき
生活習慣の改善は意外と難しいものです。テレビなどの健康番組で知った知識も三日もすれば忘れてしまいます。
では、どうしたらよいのか? 養生訓においては、「常に、意識せよ。」と言ってるように思います。
「人間は忘れる生き物である。」とドイツの学者さんが言ったそうですが、忘れても毎日覚えればいい事ですよね。
もしかしたら、「人間は継続出来る生き物」かも知れませんね。