養生訓70

「君子(くんし) の道は,時宜(じき)に,かなひ、事変(じへん)に随(したがい)ふを
よしとす。たとへば、夏は,かたびらを着、冬は、かさねぎするが如し。
一時(いちじ) を、つねとして、一偏(いっぺん)に、かかはるべからず。
殊(こと)に、常の時、身を養(やしな)ひて、堅固(けんご)にたもたずんば、大節(たいせつ)にのぞんでつよく、戦(たたか)ひを、はげみて命をすつる事、身よはくしては成(なり)がたかるべし。
故に,常(つね)の時よく気を養(やし)なはば、変(へん)にのぞんで、勇(いう)あるべし。」

意訳

賢い人は事に応じて対応します。例えば、夏は薄着になり冬には厚着になります。偏った考え方ではいけません。
いざという時のために、養生は必要です。

通解

君子の生き方は、柔軟に対応することを良しとします。たとえば、夏は薄着で過ごし冬は厚着をするように季節や状況に合わせた身の振る舞いをします。ですから、一つの考え方や行動に固執せず、さまざまな側面を理解する必要があります。
特に、日常に心身を養いしっかりとした基盤を築いておかなければ逆境に陥ったときに強く立ち向かうことができません。
そして、平穏の時にこそ変化に対応出来る勇気を養わなければなりません。

気づき

年齢を重ねてくると経験則も増し物事への分別もつくようになります。
しかし、逆に、それがネックになり新しい挑戦への意欲を削ぐ結果となったりもします。
固定観念を捨てて変化が激しい時代に臨機応変に対応することも必要かも知れませんね。

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