養生訓384(巻第八 養老)

朝夕の飯、常の如く食して、其上に又、餻餌(こうじ)、麪(めん)類(るい)など、わかき時の如く、多くくらふべからず。やぶられやすし。只、朝夕二時の食、味よくして進むべし。昼間、夜中、不時の食、このむべからず。やぶられやすし。殊(ことに)薬をのむ時、不時に食すべからず。年老ては、わが心の楽(たのしみ)の外、万端(ばんたん)、心に、さしはさむべからず。時にしたがひ、自(みずから)楽しむべし。自楽むは世俗の楽に非(あら)ず。只、心に、もとよりある楽を楽しみ、胸中に一物一事のわづらひなく、天地四時(てんちしじ)、山川の好景(こうけい)、草木の欣栄(きんえい)、是又、楽しむべし。

通解

朝食と夕食は普段通りに摂り、それに加えて過度に穀物や麺類などを摂取することは避けるべきです。それは消化が難しくなる可能性があります。ただし、朝食と夕食の2回の食事は味わい深く、食欲を刺激するようにするべきです。昼食や夜間、不定時の食事は避けるべきです。それは消化が難しくなる可能性があります。特に薬を摂取する際には、不定時に食事を摂るべきではありません。年を取ると、心の楽しみは外部の要素に左右されず、心の内に完結するべきです。時々自分自身で楽しむべきです。自己の楽しみは世俗的な楽しみではなく、元々存在する喜びを楽しむことであり、心の中に悩み事を抱かず、天地の四季、山川の美しい景色、草木の栄えなど、それらを楽しむべきです。