養生訓369(巻第七 用薬)
大便(だいべん)、瀉(しや)しやすきは、大(おお)いにあしし。少(すこし)秘(ひ)するはよし。老人(ろうじん)の秘結(ひけつ)するは寿(じゅ)のしるし也。尤(もっとも)よし。然(しかれ)共(ども)、甚(はなはだ) 秘結(ひけつ)するはあしし。およそ人の脾胃(ひい)につかえ、食滞(しょくとどこおり)り、或(あるいは)腹痛(ふくつう)し、不食(ふしょく)し、気塞(ふさが)る病(やまい) する人、世(よ)に多し。是(これ)多くは、大便(だいべん)通じがたくして、滞(とどこお)る故しかり。つかゆるは、大便(だいべん)つかゆる也。大便(だいべん)滞(とどこう)らざるやうに治(ぢ)すべし。麻仁(まにん)、杏仁(あんにん)、胡麻(ごま)などつねに食すれば、腸胃(ちょうい)うるほひて便結(べんけつ)せず。
養生訓(意訳)
便秘の人は、杏仁、胡麻などを常に食べると良いでしょう。
通解
大便を下しやすくするためには、いくつかの方法があります。まず、少量の便秘を起こすことは良いことです。老人が便秘を起こすことは寿命の兆候とされますので、特に重要です。
ただし、重度の便秘は問題です。それは一般的に人の脾胃に負担をかけ、食べ物が滞り、腹痛や食欲不振、ガス溜まりなどの症状を引き起こすことがあります。このような状態は、大便が通じにくくなるためです。
このような場合には、便秘を解消する方法を取るべきです。麻仁、杏仁、胡麻などを常に摂取することで、腸胃の機能を改善し、便秘を防ぐことができます。