養生訓350(巻第七 用薬)

利薬(りやく)は、大服(だいふく)にして、武火(ぶか)にて早く煎(せんじ)じ、多くのみて、速(すみやか)に効(しるし)をとるべし。然(しか)らざれば、邪(じゃ)去(さり)がたし。局方(きょうほう)に曰(いわく)、補薬は水を多くして煎(せん)じ、熱服(じゅくふく)して効(しるし)をとる。凡(およそ)丸薬(がんやく)は、性(せい)尤(もっとも)やはらかに、其(その)功(こう)、にぶくしてするどならず。下部(かぶ)に達(たっ)する薬、又、腸胃(ちょうい)の積滞(せきたい)をやぶるによし。散薬(さんやく)は、細末(さいまつ)せる粉薬(ふんやく)也。丸薬よりするどなり。経絡(けいろ)にはめぐりがたし。上部(じょうぶ)の病、又、腸胃(ちょうい)の間の病によし。煎湯(せんとう)は散薬(さんやく)より其(その)功(こう)するどなり。上中下(じょうちゅうげ)、腸胃(ちょうい)、経絡(けいろ)にめぐる。泡(ひたし)薬は煎湯(せんとう)より猶(なお)するどなり。外邪(がいじゃ)、霍乱(かくらん)、食傷(しょくしょう)、腹痛に用(もちう)べし。其(その)功(こう)早し。