養生訓375

又曰(またいわく)、薬を煎(せん)ずるに砂罐(しゃかん)を用(もち) ゆべし。やきものなべ也。又曰(またいわく)、人をゑ(え)らぶべし。云意(いうこころ)は、心(こころ)謹信(きんしん)なる人に煎(せん)じさせてよしと也。粗率(そそつ)なる者に任(まか)すべからず。薬を服するに、五臓四肢(ごぞうしし)に達するには湯(ゆ)を用(もち)ゆ。胃中(いちゅう)にとゞめんとせば、散(さん)を用(もち)ゆ。下部(かぶ)の病(やまい)には丸(がん)に宜(よろ)し。急速(きゅうそく)の病ならば、湯を用(もち)ゆ。緩々(かんかん)なるには散(さん)を用ゆ。甚(はなはだ)緩(ゆる)き症(やまい)には、丸薬(まるがん)に宜(よろ)し。食傷(しょくしょう)、腹痛などの急病には煎湯(せんとう)を用(もち)ゆ。散薬(さんやく)も可(か)也。丸薬(がんやく)は、にぶし。もし用(もち)ひば、こまかにかみくだきて用(もち)ゆべし。

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