養生訓345

凡(およそ)近代(きんだい)の方書(ほうしょ)、医論(いろん)、脈法(みゃくほう)、薬方(やくほう)同じき事、甚(はなはだ)多し。殊(ことに)龔挺賢(きょうていけん)が方書部数(ほうしょぶすう)、同じ事多くして、重出(ちょうしゅつ) しげく煩(わずら)はし。無用(むよう)の雑言(ざっげん)亦(なお)多し。凡(およそ)病にのぞんでは、多く方書(ほうしょ)を検(けん)する事、煩労(はんろう)なり。急病(きゅうびょう)に対し、にはかに広く考へて、其(その)相応(あいおう)ぜる良法(りょうほう)をゑ(え)らびがたし。同事(おなじこと)多く、相(あい)似(に)たる書を多くあつめ考るも、いたづがはし。才学(さいがく)ある人は、無益(むえき)の事をなして暇(いとま)をつひやさんより、かゝる有益(ゆうえき)の事をなして、世を助け給ふべし。世に其(その)才ある人、豈(あに)なかるべきや。

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