養生訓336

医は、仁心(じんしん)を以(もっ)て行ふべし。名利(みょうり)を求むべからず。病(やまい)おもくして、薬にて救(すく)ひがたしといへども、病家(びょうけ)より薬を求むる事(こと)切(せっ)ならば、多く薬をあたへて、其心(そのこころ)ををなぐさむべし。わがよく病を見付(みつけ)て、生死をしる名(な)を得(え)んとて、病人に薬をあたへずして、すてころすは情(なさ)けなし。医の薬をあたへざれば、病人(びょうにん)いよいよちからをおとす。理(り)なり。あはれむべし。

養生訓(意訳)
医者は、回復の見込みのないと思う患者にも、最大限の治療を行うべきです。医者が諦めたら、患者はより力を落とします。

通解

医者は、仁心を持って行動するべきです。名誉や利益を求めるべきではありません。重い病に苦しむ人が薬によって救われることは望ましいですが、病人の家から薬を求めることが切実な場合でも、薬を多く提供するだけでなく、その心情に寄り添うべきです。適切に病状を把握し、生死を判断する知識を持っているならば、病人に薬を提供せずして放棄することは情けない行為です。医者が薬を提供しなければ、病人はますます力を失っていくでしょう。これが医学の原理です。同情を持つべきです。

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