養生訓324

凡(およそ)医(い)となる者は、先(まず)儒書(じゅしょ)をよみ、文義(ぶんぎ)に通ずべし。文義(ぶんぎ)通(つう)ぜざれば、医書(いしょ)をよむちからなくして、医学(いがく)なりがたし。又、経伝(きょうでん)の義理(ぎり)に通ずれば、医術(いじゅつ)の義理(ぎり)を知りやすし。故(ゆえ)に孫思邈(そんしばく)曰(いわく)、凡(およそ)大医(だいい)と為(な)るには先(ま)づ儒書(じゅしょ)に通ずべし。又(また)曰(いわく)、易(えき)を知らざれば以(もって)て医(い)と為(な)る可(べ)からず。此言(このげん)、信ずべし。諸芸(しょげい)をまなぶに、皆(この)文学(ぶんがく)を本(もと)とすべし。文学(ぶんがく)なければ、わざ熟(じゅく)しても理(り)にくらく、術(じゅつ)ひきし。ひが事(こと)多けれど、無学(むがく)にしては、わがあやまりをしらず。医を学ぶに、殊(こと)に文学(ぶんがく)を基(もとい)とすべし。文学(ぶんがく)なければ、医書をよみがたし。医道(いどう)は、陰陽五行(いんようごきょう)の理(り)なる故、儒学のちから、易(えき)の理(り)を以(もって)、医道(いどう)を明(あき)らむべし。しからざれば、医書(いしょ)をよむちからなくして、医道(いどう)をしりがたし。

養生訓

前の記事

養生訓323
養生訓

次の記事

養生訓325