養生訓288(第六巻 慎病)
春は陽気(ようき)発生し、冬の閉蔵(へいぞう)にかはり、人の肌膚(きふ)和(わ)して、表気(ひょうき)やうやく開く。然(しか)るに、余寒(よかん)猶(なお)烈(はげ)しくして、風寒(ふうかん)に感じやすし。つゝしんで、風寒にあたるべからず。感冒咳嗽(かんぼうがいそう)の患(うれい)なからしむべし。草木(そうもく)の発生するも、余寒(よかん)にいたみやすし。是を以(も)って、人も余寒(よかん)をおそるべし。時にしたがひ、身を運動し、陽気(ようき)を助(たす)けめぐらして、発生せしむべし。
養生訓(意訳)
春先は、まだ冬のなごりの寒さがあり、風邪や咳が出やすい季節です。このことは草木も同じことです。温度や湿度に気を配り、適度な運動をすると良いでしょう。
通解
春になると、陽気(陽の気)が発生し、冬の閉ざされた状態から解放されます。その結果、人々の肌が健康的になり、表情も明るくなります。しかし、まだまだ寒さが残っており、風邪を引きやすい季節でもあります。そのため、風邪を引かないように注意が必要です。風邪や咳の症状が現れることを避けるためには、予防策を取ることが重要です。
また、草木も春の寒さに弱く、成長に影響を受けることがあります。そのため、人間も春の寒さに敏感であることを意識する必要があります。時に応じて、運動を心掛けましょう。