養生訓310

中風(ちゅうふう)は、外(ほか)の風(かぜ)にあたりたる病には非(あら)ず、内より生ずる風に、あたれる也。肥白(ひはく)にして気すくなき人、年(とし)四十を過(すぎ)て気衰(きおと)ふる時、七情(しちじょう)のなやみ、酒食のやぶれによつて、此病(このやまい)生(しょう)ず。つねに酒を多くのみて、腸胃(ちょうい)やぶれ、元気へり、内熱(ないねつ)生ずる故、内より風(かぜ)生じて手足ふるひ、しびれ、なえて、かなはず。口(くち)ゆがみて、物いふ事ならず。是皆、元気不足する故なり。故に、わかく気つよき時は、此病(このやまい)なし。もし、わかき人にも、まれにあるは、必(かならず)肥満して、気すくなき人也。酒多くのみ、内かはき熱(ねっ)して、風(かぜ)生ずるは、たとへば、七八月に残暑甚(いちじる)しくて、雨(あめ)久しくふらざれば、地(ち)気さめずして、大風(たいふう)ふくが如(ごと)し。此病(このやまい)、下戸(げこ)にはまれ也(なり)。もし、下戸(げこ)にあるは、肥満(ひまん)したる人か、或(あるいは)気すくなき人なり。手足なえ、しびれて、不仁(ふじん)なるは、くち木の性(さが)なきが如し。気血(きけつ)不足して、ちからなく、なへしびるゝ也。肥白(ひはく)の人、酒を好む人、かねて慎(つつしみ)あるべし。

気づき

友人も、脳梗塞になりました。注意が必要ですね。

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