養生訓306
病ある人、養生の道をば、かたく慎(つつ)しみて、病をば、うれひ苦しむべからず。憂(うれ)ひ苦しめば、気ふさがりて病(やまい),くはゝる。病おもくても、よく養(やしな)ひて久(ひさ)しければ、おもひしより、病いえやすし。病をうれひて益なし。只、慎むに益あり。もし必死の症(しょう)は、天命(てんめい)の定(さだま)れる所、うれひても益なし。人をくるしむるは、おろかなり。
養生訓(意訳)
仮に、病気になっても憂い苦しんだりしない方が良いです。憂い苦しめば悪くなります。ただ、養生の道を続ければ良いのです。憂いても何の益にもなりません。何があっても養生を続けていれば後悔だけは、ありません。周囲を苦しめるのは愚かです。
通解
病気のある人は、養生の方法を厳格に守り、病気を苦にせずに受け入れるべきです。悲嘆や苦悩は、気を閉じ込め、病気を悪化させることがあります。病気が重くても、適切に養生をし続ければ、思ったよりも回復しやすくなります。病気を苦にすることは何の益にもなりません。ただし、絶望的な状態にある場合は、それが運命と悟り、その場合には苦しむことは無駄です。他人を苦しめることは愚かな行為です。
気づき
病ある人、養生の道をば、かたく慎(つつ)しみて、病をば、うれひ苦しむべからず。
病気のある人は、養生の方法を厳しく慎重に守り、病気を悩んだり、苦しんだりするべきではありません。
憂(うれ)ひ苦しめば、気ふさがりて病(やまい),くはゝる。
心配や悲しみが重なると、気が滞って病気が悪化することがあります。
病おもくても、よく養(やしな)ひて久(ひさ)しければ、おもひしより、病いえやすし。
病気が重くても、適切な養生をしっかりと行い続ければ、病気の苦しみは軽減されやすくなります。
病をうれひて益なし。只、慎むに益あり。
病気を楽しんだりすることは何の利益もありません。ただし、慎重に身を慎むことには利益があります。
もし必死の症(しょう)は、天命(てんめい)の定(さだま)れる所、うれひても益なし。
もしも必死の病気であれば、それは運命が定めたものであり、苦しんでも何の利益もありません。
人をくるしむるは、おろかなり。
他人を苦しめることは愚かな行為です。
この文は、病気についての教訓を述べられています。病気の人は慎重に養生し、病気に対して苦しみや悲しみを抱えずに過ごすべきです。また、必死の病気は運命が絡んでいるため、苦しんでも利益はありません。他人を苦しめることは愚かな行為とも述べられています。

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