養生訓303

古語(こご)に、病は少し癒(いゆ)るに加(くわ)はるといえり。病少しいゆれば、快(こころよ)きをたのんで、おこたりてつつしまず。少し、快(こころよ)しとして、飲食、色慾など恣(ほしいまま)にすれば、病(やまい)かへつておもくなる。少し、いゑ(え)たる時、弥(いよいよ)かたくおそれつつしみて、少(すこし)のやぶれなくおこたらざれば、病(やまい)早くいえて再発のわざはひなし。此時(このとき)かたくつつしまざれば、後悔すとも益なし。

養生訓(意訳)
大病なると苦しみが多いです。大病になったことを思えば、小欲を慎むことは簡単です。少欲とは不摂生のことです。不摂生は、後のわざわいの元です。

通解

昔の教訓には、病気が少しでも良くなると、油断が生じると言われています。つまり、病気が少し回復したからといって、安心して無駄なことをしてはいけないということです。病気がわずかに良くなったときには、特に注意が必要で、急いで健康を取り戻すために慎重に行動するべきです。しかし、少し病気が良くなったからといって、無謀に飲食や快楽にふけると、病気は再び悪化する可能性があります。少しでも良くなった段階で、ますます慎重に生活し、リスクを避けることが大切です。この段階で注意を怠ると、後々、後悔することになります。

気づき

「病は少し癒るに加わると言えり」
病気は少し回復しても、それ以上に進展することがあると言われています。

「病少し癒れば、快きを頼んで、怠りてつつまず」
病気が少し良くなったら、快復を願いながらも怠けず、慎重に行動しなければならない。

「少し、快しとして、飲食、色欲など恣にすれば、病かえって重くなる」
少しでも回復したと感じた時に、飲食や欲望にふけってしまうと、病気が逆に悪化することがある。

「少し、回えたる時、弥かたく恐れつつしめて、少の破れなく怠らざれば、病早く言えて再発の業はなし」
少しでも回復した時には、ますます慎重になり、少しの破れもなく注意を怠らないようにしなければ、病気は早く治り、再発の危険はない。

「此時、かたくつつまざれば、後悔すとも益なし」
このような時に慎重さを欠いて行動しなければ、後悔するだけで何の利益もないということを示しています。

この文は、病気の回復において慎重さと注意が重要であることを教えています。

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