養生訓277(巻第五 湯浴)
海水を汲(く)んで浴するには、井水(せいすい)か河水(かすい)を半ば入れて、等分(とうぶん)にして浴すべし。然(しか)らざれば熱を生ず。温泉ある処(ところ)に、いたりがたき人は、遠所(えんしょ)に汲(くみ)よせて浴す。汲湯(くみゆ)と云。寒月(かんげつ)は水の性(せい)損(そん)ぜずして、是を浴せば、少(すこし)益(えき)あらんか。しかれども、温泉の地よりわき出たる温熱(おんねつ)の気を失(うしな)ひて、陽気きえつきて、くさりたる水なれば、清水(きょみず)の新(あら)たに汲(く)めるよりは、性(せい)おとるべきかといふ人あり。
養生訓(意訳)
温泉に行けない人は温泉を汲んでもらって入浴しても良いでしょう。ただ、性質が劣るという説もあります。
通解
海水を汲んで浴びる場合、井水か河水を半々に混ぜて、均等にするようにしてから浴びるべきです。そうしなければ、熱さが生じることがあります。温泉地に行くことが難しい場合、遠くの場所で海水を汲みに行き、そこで浴びることもできます。これを「汲湯(くみゆ)」と呼びます。寒月は水の性質を変えずに、この方法で海水を浴びることができれば、少しは効果があるかもしれません。ただし、温泉地から湧き出る温かい水の性質が失われ、陽気が失われ、くさっている水である場合、新鮮な清水を汲んで使用する方が、性質を保つために良いという意見もあります。
気づき
温泉は、効能も大切ですが、そこの地の美味しい食べ物や美しい風景を見るのも健康にいいのではないかと思いました。