養生訓295

暑月(しょげつ)の外(ほか)、五日(いつか)に一度沐(かみあら)ひ、十日に一度浴(よく)す。是(これ)古法(こほう)なり。夏月(かげつ)に非(あら)ずして、しばしば浴すべからず。気(き)、快(こころよし)といへども気へる。あつからざる温湯(おんとう)を少(すこし)盥(たらい)に入て、別の温湯(おんとう)を、肩背(かたせ)より少しづゝそゝぎ、早くやむれば、気(き)よくめぐり、食(しょく)を消す。寒月(かんげつ)は身あたゝまり、陽気(ようき)を助く。汗を発(はっ)せず。此如(かくのごとく)すれば、しばしば浴(よく)するも害なし。しばしば浴(よく)するには、肩背(かたせ)は湯をそゝぎたるのみにて、垢(あか)を洗(あら)はず、只(ただ)下部(げぶ)を洗ひて早くやむべし。久しく浴(よく)し、身を温(あたた)め過(すご)すべからず。

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