養生訓256(巻第五 五官)
衾炉(きんろ)は、炉上(ろじょう)に、櫓(やぐら)をまうけ、衾(ふすま)をかけて火を入れ、身をあたたむ。俗に、こたつと云。是にあたれば、身をあたため過(すぎ)し、気ゆるまり、身おこたり、気を上(のぼ)せ、目をうれふ。只(ただ)中年以上の人は、火をぬるくしてあたり、寒をふせぐべし。足を出して箕踞(ききょ)すべからず。わかき人は用(もち)る事なかれ。わかき人は、厳寒(げんかん)の時、只(ただ)炉火(ろか)に対し、又、たき火にあたるべし。身をあたゝめ過(すぎ)すべからず。
養生訓(意訳)
こたつは、身を暖めるものですが、暖め過ぎて気が緩み、身体がなまることもあるので注意しましょう。
通解
寝具炉は、炉の上に台を置き、寝具をかけて火を灯し、身を温めるものです。これを使用すると、体を十分に温め、気を緩め、体が冷えて気が上昇し、目が覚めることがあります。ただし、中年以上の人々は、火をやや冷たく保ち、寒さをしのぐべきです。足を出して箕踞(ききょ)をするべきではありません。若い人々はこのようなものを使う必要はありません。若い人々は、厳しい寒さの中でも、ただ炉の火や暖炉に向かうべきです。過度に体を温めないようにしましょう。
気づき
最近は、暖房器具が発達して、こたつを使うことも少なくなりましたね。しかし、エアコンなどの暖房器具も使い方によっては身体に変調をきたす場合もあるようです。暖房も適度が良いみたいですね。