養生訓253(巻第五 五官)
五更(ごこう)におきて坐(ざ)し、一手にて、足の五指(ごし)をにぎり、一手にて足の心をなでさする事、久しくすべし。此如(かくのごとく)して足心(そくしん)熱せば、両手を用ひて、両足の指をうごかすべし。右の法、奴婢(ぬび)にも命じて、かくのごとくせしむ。或云(あるいはいう)、五更にかぎらず、毎夜おきて坐し、此如する事久しければ、足の病なし。上気を下し、足よはく、立(たち)がたきを治(なお)す。久しくしておこたらざれば、脚(あし)のよはきをつよくし、足の立かぬるをよくいやす。甚(はなはだ)しるしある事を古人(こじん)いへり。養老寿親書(ようろうじゅしんしょ)、及東坡(およびとうば)が説にも見えたり。
養生訓(意訳)
朝起きてすぐに、足首のマッサージや足裏を回したり、マッサージをすると良いでしょう。
通解
五更に起きて座り、片手で足の五本の指を握り、もう片方の手で足の裏をマッサージすることを長く続けましょう。これを行うことで足の裏が温かくなれば、その後、両手を使って両足の指を動かします。これらの手法を右の法(正確な方法)とし、他の人にも指示して試してみましょう。また、五更に限らず、毎晩起きて同じ方法を行うことを習慣化すると、足の問題を予防できます。上昇気を下げ、足の冷えを治し、立ちくらみを防ぐのに役立ちます。これを長期間続けて怠らなければ、足の筋力を強化し、立ちくらみを軽減できます。これは古代の健康法の一つであり、養老寿親書や東坡の説でも見られます。
気づき
ここでは、足のマッサージや運動が健康維持に役立つことが示唆されていますね。