養生訓216(巻第四 飲食下)
黄ぎ(おうぎ)を服する人は、酒を多くのむべからず。甘草(かんぞう)を服する人は、菘菜(あをな)を食(くら)ふべからず。
地黄(ちおう)を服するには、蘿蔔(だいこん)、蒜(にんにく)、葱(ひともじ)の三白(さんぱく)をいむ。菘(あをな)は忌(いま)ず。
荊芥(けいがい)を服するには生魚(せいぎょ)をいむ。
土茯苓(さんきらい)を服するには茶をいむ。凡(およそ)、此如類(これらのるい)はかたく忌(い)むべし。
薬と食物とのおそれいむは、自然の理(り)なり。まちんの鳥を殺し、磁石(じせき)の針(はり)を吸(すう)の類も、皆(みな)天然(てんねん)の性(せい)也。此の理(り)疑ふべからず。
養生訓(意訳)
食べ物には薬効があるものが多くあります。薬を飲むときは、このことに注意を払うべきです。これは自然の理です。
通解
黄ぎ(おうぎ)を服用する人は、多くの酒を摂取すべきではありません。甘草(かんぞう)を服用する人は、菘菜(あをな)を食べるべきではありません。地黄(ちおう)を服用する際には、蘿蔔(だいこん)、蒜(にんにく)、葱(ひともじ)の三白(さんぱく)を同時に摂るべきです。ただし、菘菜は避けるべきです。荊芥(けいがい)を服用する場合、生の魚を食べるべきです。土茯苓(さんきらい)を服用するには、茶を摂るべきです。一般的に、こうした食材と薬物の組み合わせは厳重に避けるべきです。薬物と食物の組み合わせの危険性は、自然の法則に基づくものです。まちんの鳥を殺し、磁石の針を吸い寄せる性質も、すべて自然の性質から来ています。この原則を疑うべきではありません。
気づき
漢方薬の原料にもなる甘草や黄ぎも食べ合わせがあることは新鮮な驚きですね。