養生訓209(巻第四 飲食下)
古今医統(ここんいとう)に、百病(ひゃくびょう)の横夭(おうよう)は多く飲食による。
飲食の患(うれい)は色欲に過(すぎ)たりといへり。色慾は猶(なお)も絶べし。飲食は半日(はんじつ)もたつべからず。故(ゆえ)飲食のためにやぶらるヽ事多し。食多ければ積聚(しゃくじゅ)となり、飲多(いんおお)ければ痰癖(たんぺき)となる。
意訳
古代、中国の明の名医の書に、病気の原因の多くは暴飲暴食にあると書いてあります。
通解
古今の医学の伝承によれば、さまざまな病気の原因は、過度な飲食によることが多いとされています。飲食による病気の中でも、色欲によるものが多いとされています。色欲(欲望)を過度に追求すれば、それはますます制御できなくなります。また、飲食は一日半日も経たないうちに行うべきではありません。そのため、飲食が原因で健康が損なわれることが多いのです。食べ過ぎると体内に滞留物が蓄積され、飲みすぎると体内に痰(たん)や癖が生じることになります。
気づき
老人への過食の戒めは多くありますが、若くして亡くなる原因として、飲食が挙げられているのには、少し、驚きました。