養生訓213(巻第四 飲食下)
凡(すべて)の人、食(くら)ふべからざる物、生冷(せいれい)の物、堅硬(けんこう)の物、未だ熟せぬ物、ねばき物、ふるくして気味(きみ)の変じたる物、製法(せいほう)心に叶(かな)はざる物、塩からき物、酢の過(すぎ)たる物、にえばなを失へる物、臭(におい)悪(あし)き物、色悪(いろあし)き物、味変(あじへん)じたる物、魚餒(あざれ)、肉(にく)敗(やぶれ)たる、豆腐の日をへたると、味あしきと、にえばなを失(うしな)へると、冷(れい)たると、素麺(そうめん)に油あると、諸品(しょひん)煮(に)て未(いま)だ熟せずと、灰(あく)有(あ)る酒、酸味(さんみ)ある酒、いまだ時ならずして熟せざる物、すでに時(とき)過(すぎ)たる物、食(くら)ふべからず。夏月(かげつ)、雉(きじ)食ふべからず。魚鳥の皮(かわ)こはき物、脂(あぶら)多き物、甚(はなはだ)なまぐさき物、諸魚(しょぎょ)二目(にもく)同じからざる物、腹下(はらした)に丹(たん)の字ある物、諸鳥(しょちょう)みづから死して足(あし)伸(のば)ざる物、諸獣毒箭(しょじゅうどくや)にあたりたる物、諸鳥(しょちょう)毒をくらつて死したる物、肉の脯(ほじし)、屋濡水(あまだりみず)にぬれたる物、米器(べいき)の内に入れ置(お)たる肉、肉汁を器(うつわ)に入れ置(おき)て、気をとじたる物、皆(みな)毒あり。肉の脯(ほじし)、並に塩(しお)につけたる肉、夏をへて臭味(しゅうみ)あしき、皆(みな)食(くら)ふべからず。
意訳
健康な人でも、多食しない方が良い食材もあります。例えば、臭いが変化したもの、色が変わったもの、味を失ったもの、時期が早く熟していないもの、時期が過ぎたものなどは食べない方が良いでしょう。
通解
一般の人々は、食べてはいけない食べ物として、生冷のもの、硬いもの、未熟なもの、固くて噛みにくいもの、古くて風味が変わったもの、製法が合わないもの、塩辛いもの、酢の劣るもの、腐ったもの、悪臭のするもの、不潔な色のするもの、風味が変わったもの、腐った魚や肉、豆腐が日を経たもの、風味を失ったもの、冷たいもの、素麺に油が付いたもの、色々な食材を煮ても未だに熟していないもの、燃えかすのある酒、酸味のある酒、適切な時を過ぎていない未熟なもの、既に時を過ぎたものは避けるべきです。
夏の月には、雉を食べてはいけません。魚や鳥の皮は避けるべきで、脂肪の多い食べ物や異常に臭い食べ物、二つの目が同じ方向を向いていない魚、腹の下に「丹」の字の模様があるもの、自分から死んで足を伸ばしていない鳥、毒矢に当たった獣、毒を受けて死んだ鳥、干肉や屋外で濡れた肉、米の容器に入れて放置した肉、肉汁を器に入れて封じた肉は全て有害です。また、塩漬けの肉や夏を過ぎて臭くなった肉も避けるべきです。
気づき
年齢に限らず、食べ物については、注意した方が良いでしょうね。