養生訓236

凡(すべて)の人、食(くら)ふべからざる物、生冷(せいれい)の物、堅硬(けんこう)の物、未だ熟せぬ物、ねばき物、ふるくして気味(きみ)の変じたる物、製法(せいほう)心に叶(かな)はざる物、塩からき物、酢の過(すぎ)たる物、にえばなを失へる物、臭(におい)悪(あし)き物、色悪(いろあし)き物、味変(あじへん)じたる物、魚餒(あざれ)、肉(にく)敗(やぶれ)たる、豆腐の日をへたると、味あしきと、にえばなを失(うしな)へると、冷(れい)たると、素麺(そうめん)に油あると、諸品(しょひん)煮(に)て未(いま)だ熟せずと、灰(あく)有(あ)る酒、酸味(さんみ)ある酒、いまだ時ならずして熟せざる物、すでに時(とき)過(すぎ)たる物、食(くら)ふべからず。夏月(かげつ)、雉(きじ)食ふべからず。魚鳥の皮(かわ)こはき物、脂(あぶら)多き物、甚(はなはだ)なまぐさき物、諸魚(しょぎょ)二目(にもく)同じからざる物、腹下(はらした)に丹(たん)の字ある物、諸鳥(しょちょう)みづから死して足(あし)伸(のば)ざる物、諸獣毒箭(しょじゅうどくや)にあたりたる物、諸鳥(しょちょう)毒をくらつて死したる物、肉の脯(ほじし)、屋濡水(あまだりみず)にぬれたる物、米器(べいき)の内に入れ置(お)たる肉、肉汁を器(うつわ)に入れ置(おき)て、気をとじたる物、皆(みな)毒あり。肉の脯(ほじし)、並に塩(しお)につけたる肉、夏をへて臭味(しゅうみ)あしき、皆(みな)食(くら)ふべからず。

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