養生訓215(巻第四 飲食下)
同食(どうしょく)の禁忌(きんき)多(おお)し、其(その)要(かなめ)なるをこヽに記す。
猪(しし)肉に、生姜(しょうが)、蕎麦(そば)、胡荽(こすい)、炊豆(いりまめ)、梅、牛肉、鹿肉(しかにく)、鼈(すっぽん)、鶴、鶉(うずら)をいむ、牛肉に黍(きび)、韮(にら)、生姜、栗子(くりし)をいむ。兎肉(うさぎにく)に生姜(しょうが)、橘皮(きっぴ)、芥子(からし)、鶏、鹿(しし)、獺(かわうそ)。鹿に生菜(なまな)、鶏、雉(きじ)、鰕(えび)をいむ。鶏肉と鶏子(たまご)とに芥子(からし)、蒜(にんにく)、生葱(なまねぎ)、糯米(もちごめ)、李子(すもも)、魚汁、鯉(こい)、兎(うさぎ)、獺(かわうそ)、鼈(すっぽん)、雉(きじ)を忌(いむ)、雉肉(きじにく)に蕎麦、木耳(きくらげ)、胡桃(くるみ)、鮒(ふな)、鮎魚(なまず)、をいむ。野鴨(かも)に胡桃(くるみ)、木耳(きくらげ)をいむ。鴨子(あひるのたまご)に、李子(すもも)、鼈肉(すっぽん)、雀肉(すずめ)に李子(すもも)、醤(ひしお)、鮒(ふな)に芥子(からし)、蒜(にら)、あめ、鹿、芹(せり)、鶏、雉(きじ)。魚酢(うおのすし)に麦醤(むぎひしお)、蒜(にんにく)、緑豆(ぶんどう)、鼈肉(すっぽん)にひゆ菜、芥子(からし)菜(な)、桃子(もも)鴨肉(かもにく)蟹(かに)に柿、橘(たちばな)、棗(なつめ),李子(すもも)に蜜を忌(いむ)。橙橘(だいだいたちばな)に獺(かわうそ)肉。棗(あんず)に葱(ねぎ) 枇杷(びわ)に熱麺(あつむぎ) 楊梅(やまもも)に生葱(ねぎ) 銀杏(ぎんなん)に鰻(うなぎ) 諸瓜(うり)に油餅(あぶらもち) 黍(きび)米に蜜(みつ) 緑豆(ぶんどう)に榧子(かや)を食し合(あわ)すれば人を殺す ひゆに蕨(わらび) 乾筍(かんじゅん)に砂糖○紫蘇(しそ)茎葉(くきは)と鯉魚(こい) 草石蠶(ちょうろぎ)と諸魚(しょじょ) 魚鱠(なます)と瓜(うり)、冷水 菜瓜(つけうり)と魚鱠(なまず)と一にすべからず 鮓(すし)肉に髪有るは人を害す。麦醤(むぎひしお)、蜂蜜と同食すべからず 越瓜(しろうり)と鮓肉(すにく) 酒後(しゅご)に茶を飲べからず腎(じん)をやぶる酒後(しゅご)芥子(からし)及び辛き物(からきもの)を食へば筋骨(きんこつ)を緩(ゆる)くす 茶と榧(かや)と同時に食へば、身重(みおも)し 和俗(わぞく)の云、蕨粉(わらびこ)を餅とし、緑豆(りょくとう)をあんにして食へば、人殺す(ひところす)。又日(またいわく)、このしろを、木棉子(わたざね)の火にて、やきて食すれば人を殺す。又日、胡椒(こしょう)と沙菰米(さごべ)と同食すれば人を殺す。又胡椒と桃、李(すもも)、楊梅(やまもも)同食(どうしょく)すべからず。 日、松簟(まつたけ)を米を貯(たくわえ)る器中(きちゅう)に入れおけるを食(くら)ふべからず。又日、南瓜(かぼちゃ)を、魚膾(なます)に合(あわ)せ食すべからず。
養生訓(意訳)
食べ物には、食べ合わせがあります。 古の言い伝えも参考にしましょう。
通解
古代の食事の習慣においては、特定の食材同士を組み合わせることで生じる禁忌が多く存在しました。以下にいくつかの例を挙げてみましょう。
猪肉を生姜、蕎麦、胡荽、炊豆、梅と同時に摂るべきではない。
牛肉には黍、韮、生姜、栗子を同時に摂らない方が良い。
兎肉に生姜、橘皮、芥子を同時に摂るべきではない。
魚酢には麦醤、蒜、緑豆を同時に摂らない方が良い。
これらの禁忌の中には、特定の食材同士が組み合わさることで健康に害を及ぼすと考えられていたものがあります。
気づき
食事の知識は大切ですね。知らない事で損をしていることもありそうですね。ただし、現代においては科学的な知識が進んでおり、食材の組み合わせによる影響を適切に理解して健康的な食事を摂ることが重要でしょうね。