養生訓207(巻第四 飲食下)
朝夕の食、塩味(しおみ)をくらふ事すくなければ、のんどかはかず、湯茶(ゆちゃ)を多くのまず。脾胃(ひい)に湿(しつ)を生ぜずして、胃気(いき)発生しやすし。中華、朝鮮の人は、脾胃(ひい)つよし。飯(めし)多く食(しょく)し、六畜(ろくちく)の肉を多く食(くら)つても害なし。日本の人は是にことなり、多く穀肉(こくにく)を食(しょく)すれば、やぶられやすし。是(これ)日本人の異国の人より体気(たいき)よはき故(ゆえ)也。
意訳
塩分の少ない食事は、喉の渇きが少ないので胃腸に良いです。他国の人は肉食に歴史がありますが、日本人はありませんので多食しない方が良いでしょう。
通解
朝と夕の食事は、塩分を控えて摂ることが重要です。多量の塩分を摂らずに、かわりに湯やお茶を多く摂ることで、脾臓と胃の湿気を生じずに胃の消化を促進できます。中国や朝鮮の人々は、通常脾臓と胃が強く、多くの食事や肉類を摂っても問題ありません。一方、日本の人々は異なり、穀物と肉類を多く摂ると消化不良になりやすい傾向があります。これは日本人が他国の人々と体質が異なるためです。
気づき
昔から、日本人は塩分多めの食生活だったんですね。減塩は必要ですね。
六畜とは
「六畜(ろくちく)」は、日本語の成句で、中国の故事や文学から引用された言葉です。主に家畜を指す言葉で、中国の伝統的な分類方法に基づいています。具体的には、以下の六つの畜が含まれます:
馬(馬)
牛(牛)
羊(羊)
鶏(鷄)
犬(犬)
豕(猪、ブタ)
これらの動物は、古代の中国社会において農業や生活において重要な役割を果たしていました。この表現は、人々が日常生活でよく利用される動物を指し、その中には食料や労働力の提供者としての重要性が含まれています。