養生訓82(巻第二総論下)
貧賎(ひんせん)なる人も、道を楽しんで日をわたらば、大(だい)なる幸なり。
しからば、一日を過(すご)す間も、その時刻、永(なが)くして楽(たのしみ)多かるべし。
いはんや一(いち)とせをすぐる間、四時(しじ)の、おりおりの楽(たのしみ)、日々に、きはまりなきをや。
此如(このごとく)にして年(とし)を多くかさねば、其(その)楽(たのしみ)長久(ちょうきゅう)にして、其(その)しるしは寿(なが)かるべし。
知者(ちしゃ)の楽(たのし)み、仁者(じんしゃ)の寿(じゅ)は、わが輩(やから)及(および)がたしといへども、楽より寿(じゅ)にいたれる次序(じちょ)は相(あい)似(に)たるなるべし。
意訳
四季のうつろいを楽しむことは、万民すべてに与えられた権利でしょう。それを、長く続けられることが幸せの原点です。例え、貧しくとも、人生を水の流れるように悠々と楽しみ、そして、欲に溺れることなく、人生を送ることが長生きで幸福だということです。
通解
金銭的に貧しい人でも、人生を楽しみながら日々を過ごすならば、大きな幸福を手にしたものになるでしょう。したがって、一日を通じて、その瞬間を長く楽しむことが大切です。一瞬の快楽を追求するのではなく、四季ごとの色々な楽しみや、日々の小さな喜びを感じることが幸せです。これらの瞬間を積み重ねることで、幸福が長く続き、その兆候は寿命を延ばすことに繋がります。
知識人の楽しみや、仁愛を持つ人は、私たちのそれとは違うかもしれませんが楽しみから生まれる喜び変わりないと思います。
気づき
人生の楽しみとは、その方の価値観によるようですね。お金や財産が好きな人は、それが、増えれば幸せだと感じるでしょうし、そこに価値観がない人は生きれる分の貯蓄があれば良いと考えるでしょう。いずれにしても、健康で長生きすることが一番かも知れませんね。
「次序(じじょ)」とは、
「次序(じじょ)」は、順序や順番を指す言葉です。特定の事柄やアクションが何かを実現するために順次行われる一連の段階や手順を示すことがあります。次序は計画、手続き、手順、プロセスなどの文脈で使用されます。
次序は特に次のような文脈で使用されることがあります:
プロジェクト管理: プロジェクトやタスクを効果的に管理するために、段階的な手順や作業の順序を設定することが重要です。このプロセスは次序に従って進行し、各段階が前の段階の完了に依存することがあります。
生産プロセス: 製造業や生産業において、製品の生産ラインやプロセスにおける順序は非常に重要です。製品の製造段階が正確な次序に従わない場合、品質や効率に問題が生じることがあります。
手続きや手順書: 様々な分野で手順書やガイドラインが作成され、特定の作業やプロセスを実行するための次序が詳細に記載されています。これは誤りを減少させたり、一貫性を保つのに役立ちます。