養生訓104

飲食は身を養ひ、ねぶり臥(ふ)すは気を養なふ。
しかれども飲食、節(せつ)に過れば、脾胃(ひふ)をそこなふ。
ねぶり臥(ふ)す事時ならざれば、元気をそこなふ。
此二(このふたつ)は身を養はんとして、かへつて身をそこなふ。
よく生(せい)を養ふ人は、つとにおき、夜半(やはん)にいねて、昼いねず、常にわざをつとめておこたらず、ねぶりふす事をすくなくして、神気(しんき)をいさぎよくし、飲食をすくなくして、腹中(ふくちゅう)を清虚(せいきょ)にす。かくのごとくなれば、元気よく、めぐりふさがらずして、病生ぜず。発生の気(き)、其(その)養を得(え)て、血気(けっき)、をのづからさかんにして病なし。
是寝食(しんしょく)の二(に)の節(せつ)に当れるは、また養生の要(よう)也。

意訳

養生の基本は、早起きして、朝食をたべ、適度の仕事と運動をして、長い昼寝をしないで、夕食は腹八分で済ませることです。

通解

飲食は身体を栄養し、睡眠は気を回復させます。
ただし、飲食を過度にすると消化器を損ない、睡眠の過度な欠如は元気を減少させます。
この二つの要因は、身体を養うために取り組む一方で、過度になると身体を害するものです。
健康的な生活を維持するためには、早起きし夜遅くまで起きて昼間は休まずに活動し、適度な睡眠を確保し身体を活発に保つことが重要です。また、飲食を適切に摂り、空腹感を避けることで、元気を保ち、血液の循環を促進し、病気を予防します。これによって、体内の生命エネルギーである「気」を養い、血液の健康を保つことができます。このような寝食と節制のバランスは、養生の要点でもあります。

気づき

睡眠は必要ですが、過度に寝過ごすことも良くないようですね。そして、睡眠の時間よりも、良質の睡眠が良いと聞いたことがあります。
常にわざをつとめておこたらず」ともあります適度な運動は、良質の睡眠と関係があるのかも知れませんね。

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