養生訓77(巻第二総論下)

人、毎日昼夜(ちゅうや)の間、元気を養ふ事と元気をそこなふ事との、二(に)の多少をくらべ見るべし。
衆人(しゅうじん)は一日の内、気を養ふ事は常にすくなく、気をそこなふ事は常に多し。養生の道は元気を養ふ事のみにて、元気をそこなふ事なかるべし。
もし、養ふ事はすくなく、そこなふ事多く、日々つもりて久しければ、元気へりて病生じ、死にいたる。
この故に衆人(しゅうじん)は病多くして短命なり。
かぎりある元気をもちて、かぎりなき慾をほしゐまゝにするは、あやうし。

意訳

一日にうちで、元気を失うことと、元気が出ることを比べてみましょう。もし、元気を失うことがたくさんあると将来、病気のもとになります。

通解

人は、毎日の昼夜の間において、健康を保つための行動と健康を損なう行動との間で、どちらがどれだけ行われているかを比べてみるべきです。
一般の人々は、一日の中で健康を保つための行動を十分に行わず、健康を損なう行動を多く行っています。養生の道は、健康を保つ行動に徹し、健康を損なう行動を避けることです。
もし健康を保つ行動が不足し、損なう行動が多いまま日々を過ごし続けると、健康が減少し病気が生じ、最終的には死に至ることになります。

気づき

考えてみれば、過労とストレスが続けば、病気になる確率は高くなると思います。だからといって、だらだらとした人生を過ごすのも意味がないように思います。何事も、バランスが大切かも知れませんね。

「衆人(しゅうじん)」とは

「衆人(しゅうじん)」は、「多くの人々」や「一般の人々」を指す表現です。この言葉は、一般的に集団や社会全体の人々、大衆、広く一般の人々を指す際に使用されます。