養生訓98

易(えき)に曰、「患(うれい)を思ひ、予(かね)てこれを防ぐ」。
いふ意(こころ)は後の患(うれい)をおもひ、かねて其(その)わざはひをふせぐべし。
論語にも「人遠き慮(おもんばかり)なければ、必近きうれひあり」との玉(たま)へり。是皆、初(はじめ)に謹(つつし)んで、終(おわり)をたもつの意(こころ)なり。

意訳

古い医学書に、「病気の苦しみを想像して、予防を心掛けなさい。」と書いてあります。
論語にも、「遠い将来のことを考えずにいると、近い将来必ず、心配事が起こる」と書いてあります。

通解

易経には「患を思い、予てこれを防ぐ」とあります。これの意味は、将来の困難や問題を予測し、事前にその対策を講じるべきだということです。
また、論語にも「人遠き慮なければ、必近き憂いあり」という言葉があります。これは、将来の不幸を遠い将来と思っていたら、意外と近い将来に悩みが訪れるということを意味しています。これらの教えは、初めから注意深く行動し、最終的には結果を良好なものとするための意図を持っています。

気づき

大病を経験されている方は、その苦しみを知っているがゆえに、健康に注意し長生きできるとも聞いたことがあります。

予防のための実践を日々、心掛けたいものですね。

「易経」(いきょう)とは

「易経」(いきょう)は、中国の古典的な哲学的文献の一つで、一般的にはとも表記されます。易経は、古代中国の哲学、占い、宗教、倫理に関する重要な文献の一つで、紀元前2千年紀から古代の中国で使用されてきました。

「易経」の哲学: 易経には、陰陽、五行、変化、均衡などの重要な哲学的概念が含まれています。これらの概念は、宇宙や人間の生活における調和と変化の原則を示し、倫理的な行動や知恵の追求を助けるために用いられます。

易経は、中国の古代文化と哲学の中心的な要素であり、また、世界中で哲学、占い、心理学、倫理学、文学などの分野で研究および解釈されています。また、さまざまな派生書や解説書が存在し、易経の理解を深めるために研究者や哲学者によって多くの解釈が提供されています。

「論語」(ろんご)とは

「論語」(ろんご)は、古代中国の哲学者である孔子と彼の弟子たちによる言行録をまとめた古典的な文献です。論語は、儒教の中心的な文献の一つです。
「論語」は、孔子の弟子たちによって、孔子の言葉や行動を記録したものです。これには、彼の教育哲学、倫理観、道徳的価値観、政治の原則などが含まれています。孔子の弟子たちは、彼の教えと哲学的思想を記録し、後代に伝えることを目的としていました。

選集: 論語には、孔子の言行がいくつかの章や節に分けて収録されています。代表的な章には「学而篇」、「為政篇」、「公冶長篇」、「子罕篇」などがあり、それぞれ異なるテーマに焦点を当てています。これらの章や節は、孔子の考え方や哲学的見解を探究し、学習と倫理的な生活の指針を提供します。
「論語」は、古代中国の文学や哲学の重要な遺産であり、中国だけでなく世界中の哲学や倫理学に影響を与えました。孔子の教えと思想は、中国の文化と社会において持続的な影響を持ち続けており、多くの人々によって尊敬され、学習されています。




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