養生訓74(巻第二総論下)

一時の慾をこらへずして病を生じ、百年(ひゃくねん)の身をあやまる。愚なるかな。
長命をたもちて久しく,安楽ならん事を願はゞ、慾をほしゐまゝにすべからず。
慾をこらゆるは、長命(ちょうめい)の基(もとい)也(なり)。
慾をほしゐまゝにするは短命の基(もとい)也。
恣(ほしいまま)なると忍(しの)ぶとは、是(これ)寿と夭(よう)とのわかるる所(ところ)也。

意訳

健康長寿を願う人は、少しの欲望をこらえましょう。欲望のままに生活すれば短命のもとになります。日々、積み重ねれば、この差は大きいです。

通解

一時の欲望にふけって病気を引き起こし、百年の寿命をも乱してしまう。愚かなことです。
長寿で長く幸福な生活を送りたいと望むなら欲望にまかせてはいけません。
欲望を抑えることこそが、長寿の基本です。
欲望にまかせていると、短命の基となります。
自分の欲望に任せる生き方と節制を基本とする生き方の違いは、長命と短命の違いを表します。

気づき

近頃、人生100年と叫ばれるようになりました。養生訓においても、百年を人生の期としています。

長生きするだけでなく、出来れば100歳まで楽しく健康に行きたいものですね。

寿と夭とは、

「寿」と「夭」は、対照的な意味を持つ文字です。
「寿」は、長寿と幸福な生命を表す漢字です。この文字は、長寿や幸福を願う際に使われ、祝福の意味を持ちます。また、「壽」とも書かれることがあります。日本の文化において、誕生日や結婚式、祝儀袋(のし袋)、飾り物などによく使われる漢字です。
「夭」は、早くに亡くなることを意味する漢字です。この文字は、若くして死亡したり、早逝したりすることを指す言葉として使われます。対照的に、「寿」が長寿と幸福を象徴するのに対して、「夭」は若い人が早死にすることを示します。