養生訓97

一時の慾をこらへずして病を生じ、百年(ひゃくねん)の身をあやまる。愚なるかな。
長命をたもちて久しく,安楽ならん事を願はゞ、慾をほしゐまゝにすべからず。
慾をこらゆるは、長命(ちょうめい)の基(もとい)也(なり)。
慾をほしゐまゝにするは短命の基(もとい)也。
恣(ほしいまま)なると忍(しの)ぶとは、是(これ)寿(いのちながき)と夭(いのちみじかき)とのわかるる所(ところ)也。

意訳

健康長寿を願う人は、少しの欲望をこらえましょう。欲望のままに生活すれば短命のもとになります。日々、積み重ねれば、この差は大きいです。

通解

一時の欲望にふけって病気を引き起こし、百年の寿命をも乱してしまう。愚かなことですね。
長寿であり、長く平和で幸福な生活を送りたいと望むなら、欲望にまかせてはいけません。
欲望を抑えることこそが、長寿の基本です。
欲望にまかせていると、短命の基となります。
自分の欲望に従うことと、節制することの違いは、長い命と短い命の違いを示しています。

気づき

近頃、人生100年と叫ばれるようになりました。養生訓においても、百年を人生の期としています。

長生きするだけでなく、出来れば100歳まで楽しく健康に行きたいものですね。





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