養生訓73(巻第二総論下)
心は楽しむべし、苦しむべからず。身は労すべし、やすめ過(すご)すべからず。凡(およそ)わが身を愛し過(すご)すべからず。
美味(びみ)をくひ過(すご)し、芳(ほう)うんをのみ過(すご)し、色をこのみ、身を安逸(あんいつ) にして、おこたり臥す事を好む。
皆是、わが身を愛し過(すご)す故に、かへつて、わが身の害となる。
又、無病の人、補薬(ほやく)を妄(みだり)に多くのんで病となるも、身を愛し過(すご)すなり。子を愛(あい)し過して、子のわざはひとなるが如し。
意訳
気持ちは楽しく苦しまない様にしましょう。ただ、体は出来るだけ動かした方が良いでしょう。欲望に溺れた生き方は心と体を害します。そして、病気でもないのに薬を飲むのも良くないです。
通解
心は楽しむべきであり、苦しむべきではありません。身体は働くべきであり、過度に休息するべきではありません。自分の身を過度に愛すべきではありません。
また、美味しいものに過度にこだわり性欲に執着し安楽な生活を追求して怠ける。これらはすべて自分の身を過度に愛しているために、結局は自分に害をもたらすものです。
また、無病の人でも、過度に補薬を摂取して病気になることがありますが、これも自分の身を愛し過ぎる結果です。子供を過度に愛して子供のわがままを許し身を亡ぼす元を作るのと似ています。
気づき
時々、自分自身を溺愛していると思うことがあります。例えば、好物なものがあれば、我慢できず食べ過ぎたり飲み過ぎたりテレビを見るのも好きです。でも、少しづつでも、改善して行きたいものですね。